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「ドラッグ・ラグ」解消へ 国、異例の大量開発要請

5月10日7時56分配信 産経新聞

 ■承認まで1年超…患者「長い」

 海外で承認されている薬が日本で使えない「ドラッグ・ラグ」の解消に向け、厚生労働省は5月中旬にも、未承認薬など109品目について、国内販売に向けた準備に入るよう製薬会社に要請する。検討会の結果を受けた措置で、厚労省が一度にこれほど多くの医薬品について承認を促すのは初めて。一刻を争う難病やがん患者らの期待が高まっている。(長島雅子)

 日本製薬工業協会によると、外国で新薬が発売されてから日本で発売されるまでに平均で4・7年かかる。米国(1・2年)の約4倍の期間だ。

 特に難病やがんなどで患者数の少ない治療薬は予想販売量や治験に参加できる日本人患者が少ないため、国内での開発が遅れがちだった。しかし、今回は国のてこ入れもあり、製薬企業も協力的とみられる。

 「命をつなぐためにすぐに承認してほしい」。厚労省は今年2月、患者らの切実な声を受けて検討会を設置。要望のあった374品目を検討し、今回109品目を「医療上の必要性が高い」とした。別の病気で承認されているのに病気が異なると医療保険が適用されない「適応外薬」も含む。まだ検討が済んでいない医薬品も多く、6月をめどに最終結論を出す方針だ。

 厚労省の計画では、要請を受けた会社は1年以内に治験に着手するか、海外などで使用実績がある薬については治験を行わず、半年以内にデータを検討会に提出するよう求めている。

 厚労省は企業の研究開発を支援するため、新薬の特許期間中は薬価が下がっても補填(ほてん)しているが、要請した開発が進まなければ補填分を返納させる罰則も設け、実効性を持たせた。

 検討会設置から3カ月足らずの「要請決定」に、患者らは「早い結論でありがたい」と喜ぶ。ただ、実際の承認までには「審査期間を含め、最短でも1年3カ月はかかる」(厚労省審査管理課)といい、一刻を争う患者の思いは複雑だ。

 「患者にとってはこれからが長い。製薬会社は患者の切実な思いを受け止めて、誠実に対応してほしい」。「卵巣がん体験者の会スマイリー」の片木美穂(36)代表はこう訴える。スマイリーが要望し、要請が決まった抗がん剤は肺がんなど5つのがんの治療薬として承認されているが、卵巣がんの治療薬としては承認されていない適応外薬だ。

 進行すると脳や神経が破壊され、やがて寝たきりになる難病「ニーマン・ピック病C型」と闘う佐賀市の高藤吾子(あこ)ちゃん(4)の父、恒泰さん(40)は「吾子が寝たきりになるのは時間の問題。一刻も早く承認してほしい」と話している。

【関連:シリーズ「ドラッグ・ラグ」】
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最終更新:5月10日11時43分

産経新聞

 

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