西日本新聞

動物ニュース

2010年04月21日掲載 長崎 / 鳥類

白鳥受難、卵割られる ヒナ誕生直前 住民がっかり

hakutyo.jpg ■捕獲しようとした男性 大村署聴取

 大村市中心部を流れる水路で卵を温めていた野生のコブハクチョウのつがいが20日朝、つがいを捕獲しようとした市内の男性(86)に巣を荒らされ、誕生間近だった卵3個がすべて割られた。大村署は鳥獣保護法違反の疑いで男性から事情を聴いている。つがいは無事だったものの、ヒナの誕生を心待ちにしていた近所の人たちは一様に肩を落としている。

 
 同署などによると、同日午前9時ごろ、男性は巣に上がり込んでコブハクチョウの首に縄をかけて、陸に上げようと引っ張っていたところを近所の人が110番通報。その際、男性は巣にあった卵3個を踏みつぶした。卵の中には、ふ化する直前のヒナがいたという。同署の事情聴取に対して男性は「亀を捕りに来たらたまたま白鳥を見つけ、かわいかったので自宅の池で飼おうと思った」と話しているという。
 
 つがいは昨年も近くに巣を作り卵を温めていたがかえらなかっただけに、ヒナ誕生はつがいを見守ってきた近所の人たちにとっても念願だった。巣にはほかに卵は残っておらず、近くの男性は「なんでこんなことをするのか」と憤まんやる方ない様子。温める卵もなく巣にたたずむつがいを気遣うように見守った。
 
 卵の中のヒナ3羽は、毎日のように餌をやりに来ていた女性(73)が引き取った。女性は「この子たちの体をきれいにふいて、今晩はお通夜。猫に荒らされないようなところに埋めてあげます」と話していた。
 
=2010/04/21付 西日本新聞朝刊=