4月6日、米国防総省で新核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」について報道陣に話すクリントン国務長官(中央)(AP=共同) 見送りは朝鮮半島有事への危惧 米の核新政策オバマ米政権が4月に公表した新核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」で、敵の核攻撃抑止を核保有の「唯一の目的」とする新政策採用を見送った理由として、朝鮮半島有事への危惧や日本などに提供する「核の傘」弱体化への懸念があったことが9日までに分かった。NPR策定に関与した米政府高官や外交筋が明らかにした。 「唯一の目的」政策は、核の役割の大幅低減を意味し、敵の核攻撃まで自ら核を使わない「先制不使用」政策にもつながる。「核兵器なき世界」を唱えるオバマ政権が今回採用するかどうかが焦点だったが、日韓など同盟国への配慮から、政策転換に踏み切れなかった経緯が初めて判明した。 自身の核保有を正当化する英国とフランスが反対の意向を伝えたことも考慮されたという。 高官らによると、政権内では「唯一の目的」政策を表明する可能性が検討されたが、支持されなかった。北朝鮮は北緯38度線近くに強大な通常兵器を配備しており、スタインバーグ国務副長官らを中心に、韓国への急襲を防ぐために「核の先制使用」を温存すべきだとの主張が展開されたことが「最大の理由」という。(ワシントン共同) 【共同通信】
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