2010年05月09日

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アジアNo.1を目指す

孫 正義「野心と限界」

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編集部 太田匡彦


「『わが国』という場合、中国、韓国を含めてわが国だ」

そんな趣旨の言葉を、孫正義氏は最近口にするという。そして、こう続ける。

「アジアを制する者が世界を制する。そんな時代が必ず来る」

これまでインターネット先進国として世界の覇権を握ってきた米国に対して、ソフトバンクを「アジアNo.1」のネット企業に成長させることで対抗する。そんな「野望」が、一連の発言からはにじみ出てくる。

中国のネット業界でソフトバンクの存在が取り沙汰され始めたのは10年以上も前。すべて孫氏自身が陣頭指揮をとってきた。中国事業の核がアリババ・グループ・ホールディング。孫氏とアリババ創業者の馬雲氏の出会いは2000年とされる。

「伝説的な6分間」

アリババ社内でいまもそう語られる北京での出会いだった。

1999年設立のアリババ・ドット・コムは当時、企業間電子商取引のホームページを運営していた。知人の紹介で孫氏に会う機会を得た馬氏が、事業内容を説明し始めてわずか6分。

「君の会社に投資したい」

孫氏は即断したという。

そうして03年に誕生したのが、ネットオークションやネット販売を手がける「タオバオ」だ。1億7000万人が利用し、中国のオンラインマーケット市場で78%ものシェアを獲得している。

この4月27日、東京都内のホテルの大バンケットホールで開かれたソフトバンクの10年3月期決算説明会。経営状況を説明する孫氏はどこまでも強気だった。連結営業利益で前年同期比29.7%増の4658億円を稼ぎ、09年度の営業利益ランキングで国内3位になる見通しを、誇らしげに語った。

その5割以上が移動体通信事業、つまり携帯電話による利益だ。だが、少し前までソフトバンクの経営には常に不安が付きまとっていた。特にリーマン・ショック後の数カ月は市場関係者や総務省周辺で、ソフトバンクの資金繰りが悪化しそうだ、という話まで出回った。

この危機を救ったのが、iPhoneだった。現在の好調な経営はiPhoneに支えられているだけに、ソフトバンクはiPhoneの独占販売権を手放すわけにはいかない。

iPhone頼みの危うさのほかにも、孫経営の危うさを指摘する声もあるーー。

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