モスクワの赤の広場で9日、対ナチス・ドイツ戦勝記念日の軍事パレードで行進する英国近衛兵=ロイター。65周年で、初めて外国軍が参加した
【モスクワ=星井麻紀、副島英樹】対ナチス・ドイツ戦勝65周年記念日を祝う軍事パレードが9日、モスクワの赤の広場で開かれ、米英仏やポーランドなど13カ国の外国軍が初めて行進した。米英仏は第2次世界大戦当時の「反ファシズム」の連合国だが、冷戦終結後もロシアと相対してきた北大西洋条約機構(NATO)の主要国。メドベージェフ政権の発足から2年を経た軍事パレードは「新時代」を強く印象付けた。
ソ連崩壊後で最大規模となるパレードには、中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席やドイツのメルケル首相ら25の国家元首らが参列。ロシアの軍人約1万1千人のほか、旧ソ連諸国の独立国家共同体(CIS)や、ノルマンディー上陸作戦に参戦した米国の部隊や英国の近衛兵、仏飛行中隊など計約1300人が参加した。
第2次大戦当時の兵士の軍服やT34戦車も初披露され、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「トーポリM」まで含め計160の地上兵器が登場。軍用機・ヘリ約130機が飛行した。パレードの費用は12億ルーブル(約36億円)ともいわれる。
メドベージェフ大統領はあいさつで、「善隣関係があってこそグローバルな安全保障問題を解決できる。反ヒトラー連合を含めた統一の隊列は、平和を守り、戦争の評価の歪曲(わいきょく)を許さない我々共通の覚悟の証しだ」と述べた。
戦勝記念の軍事パレードは1945年6月、スターリン時代に初めて実施。65年から公式行事となり、毎年5月9日に開かれてきた。今回の米英仏の参加でロシアが強調するのは、「戦勝記念日は欧州でのファシズム阻止の祝日でもある」という点だ。これはソ連の功績の確認でもある。