KM日記

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ピアノ

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技術とゲージュツ

     大学の建築学科の学生時代に、私たちは、

     『建築にまず求められるのは、「機能性」か、「デザイン性」か?』

     などと、青臭い議論をよくしていました。

     『青臭い』などと、バカにしてはいけません。
     若い時代に、こういう議論をきちんとやっておくことは大切なことです。

     こう書くといかにもオジン臭くて自分でも嫌になるのですが、
     最近の若い世代は、物事をマジメに議論することを、

     『ダッセェ〜 うぜぇ〜 、マジ?』

     と、小バカにする風潮があるような気もしますが、
     私の一つ前の世代は、

     『安保協定は日本の将来にとって必要か?』

     などと、高校生でも議論していたわけですし、

     はるかかなたの昔の、旧制高校生などは議論してないと学生ではないような
     雰囲気があったそうなので、日本人は、どんどんマジメな議論をしなくなってきて
     いるのでしょう。

     それはともかく、『建築は機能か、デザインか?』でした。

     なぜ、こんなことをいきなり思い出したかというと、

     フィギュアスケートの中継を見ていてふと、思い出したのでした。

     フィギュアスケートの世界では、いまや日本や韓国が世界の中心となり、
     米国やロシアでも日本人・アジア系人が活躍しているので、ご同慶の限りなのですが、

     採点で、『技術点』 と、『芸術点』 というように、

     「技術」と「芸術性」を、明確に区別している点から、前述の青臭い議論を
     思い出したのでした。

     私は、フィギュアスケートの採点についてはよく知らないので、
     間違った認識があっては失礼なのですが、

     マオちゃんは、『トリブルアクセルを飛びたい』とか、「技術」のほうに
     演技の重点を置いていて、

     対するユナちゃんは、『芸術性』のほうに重点を置いたプログラム構成に
     なっているような印象を受けました。

     私は前の記事で、

     『「技術」と「芸術性」は、どうも違う世界にあるらしい』

     ということを書きました。

     建築で、「機能だけあればいい」という建築があったとして、
     「それは、はたして必ず美しいか?」という議論があります。

     建築の最低限の「機能」とは、『雨風直射日光が防げればいい』
     わけで、掘っ立て小屋がまさにこれに該当します。

     さすが世の中には、「機能だけあればいい」という建築物も存在していて、
     東海道新幹線からも見える、ある公共建築大ホールは、
     まさに、『ホールとしての機能があればいい』という合理性を追求した建築物で、
     外から見ると、『いったいこの物体は何なのか?という感じです。

     私はこの巨大な構築物を目にしたとき、

     『ああ、建築物というものは、「その存在のメッセージ性」も必要なのだ』

     と、初めて認識した次第です。

     住宅建築には、『そこにヒトが住んでいる』という主張や、
     その建物に住んでいるヒトが、『誇りに思う』満足感や、
     外から帰ってきたとき、心身ともに疲れたヒトを暖かく迎えるデザインが必要です。

     警察や消防署や、学校やデパートやお寺や銀行や・・・・・・
     見て、その建物の「機能がひと目でわかる」デザインが必要です。

     いわば、建築物では、「機能」と「デザイン」は一心同体のものであったわけです。

     「機能は優れているがデザインはダメ」とか、
     「デザインは良いが、機能的でない」という建築物は、「使えない」わけです。

     さて、ここでフィギュアスケートですが、
     どうもこの世界では、「技術」と「芸術」は、同居しないものらしい。

     これは別に今に始まった話ではなくて、
     遠くは、札幌オリンピックのジャネット・リンや、
     ドイツのカタリーナ・ビット、日本では伊藤みどりさんが活躍したときにも、
     似たような議論が繰り返されました。

     陸上競技や水泳などは、「速い」か「距離を稼いだ」ほうがえらくて、
     「いかに芸術的に競技したか?」などは問題外なわけです。


     さて、ようやくここからが本題なのですが、(おつきあいいただいたみなさま、すみませぬ)

     音楽の演奏においても、同様な議論が繰り返されます。


     『技術はバツグンだが、感情表現がまだまだただね。』

     『表現力はあるのですが、技術が追いついていません。』

     技術と芸術性は、どうも同じカテゴリー(範囲・範疇)にないことが
     前提となっているような雰囲気があります。

     マオちゃんユナちゃんのレベルはともかく、私たちのトーシロの演奏では、
     いったい技術とゲージュツ(表現力)は、どのように折り合いをつければいいのでしょうか。

     ちょっと前までの技術的にヘタなうちは、先生は、

     『とってもいいですよ』

     と、ホメてくれたのに、少しテクニック的に上達した部分があると、
     とたんに、

     『そこがそれだけ弾けるなら、あそこがダメです。ここがいけません。』

     と、どさ〜っと課題が増えてきてしまいます。

     4回転ジャンプを飛んだがために、逆に原点されてしまう高橋大ちゃんみたいです。
     それなら、4回転に挑戦しないで、難易度が低い構成で安全策でいったほうが
     いい、
     ピアノでいえば、難しい曲はさけて、技術的難易度の低い曲で完成度をねらう
     みたいなものです。

     技術と、芸術は、どっかでつながっているけど、
     折り合いのつかない部分もあるみたいですね。(苦笑)

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先日から、ずっと考えていると、そういう話題がでてくるのですが・・
昨晩NHKで、「会社の星」
http://www.nhk.or.jp/kaisha/archives/100328/index.html
というので、立体思考のすすめというの話が出ていました。
ディベートなども、以前数回学びに言っていましたが。
書くと長くなりそうなので・・・笑
その時、その時によって、求めていることが違うということ。
若い時には若い時で、技術を磨く時期かもしれない、
それが美しいと思う。その時を、楽しませてもらっているという
感じに、最近思えてきましたが・・・?!笑
「美」に対しての価値観でしょうか?

2010/3/28(日) 午後 1:26 pochette

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Pochetteさん、難しい話題におつきあいいただき、ありがとうございます。
真面目にやりだすと「哲学」の分野になってしまいますね(苦笑)
『美とは何ぞや?』・・「美学」という専門の学問があるぐらいですからね。

コンクールの社会人部門に出てみて、80歳を超えたおばあさまや、還暦を過ぎてからピアノ始めたおじさまの演奏を聴きました。
私も・私の先生も・会場の皆様も同意見なのですが、技術がああだこうだという前に、私たちの胸に迫ってくるものを感じました。
その人の人生が・生活が反映されている、というのでしょうか、技術の点でいえば優れた人はいっぱいいるでしょうが、『その人でないとできない演奏』や『演奏に対する気持ち』というものがあふれていました。

『演奏技術では説明できないものがあるのではないか?』と、私の先生とギロンしていますが、ではそれは何か?といわれるとわからないのです。
そして、またその演奏を聴きたくて、いそいそとコンクールに出かけていくことになるのです(微笑)

2010/3/29(月) 午後 0:16 [ KM ]

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<若者にデマを広めないために>

こんにちは。
こちらをどうぞ。
技術⇔芸術という「分け方」が存在しない。「芸術点」は誤訳
http://megalodon.jp/2010-0325-0334-01/messages.yahoo.co.jp/bbs?action=5&board=1835594&tid=0kfa3a4dfa4ia4j&sid=1835594&mid=2692

ここからの抜粋です。お読みください。↓
<若者にデマを広めないために> ご協力お願いします
http://megalodon.jp/2010-0325-0549-33/messages.yahoo.co.jp/bbs?action=5&board=1835594&tid=a1ya5wa5ma50a5ia5e0a1ua5dfa5ea1bca58a5ca5afa1y&sid=1835594&mid=5552

2010/5/9(日) 午後 9:11 [ la*zn*x4 ]

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