2010年04月30日 (金)若葉のころ -野村正育-
「いまのリポート、結論をもっと早く述べて、文章を短くするとわかりやすくなるよね」
真剣な面持ちでノートをとる研修生たち。
今年もアナウンサーの新人研修が始まりました。私も4月から専任講師をつとめています。新人アナウンサー13人のいわば「担任」です。
アナウンサーの研修といえば、「アイウエオ」の発声、早口言葉の練習などを想像します。
でも、それだけではありません。研修の内容はとても幅広いものです。
ニュースをわかりやすく伝える練習と並行して、社会部のデスクを招いて取材の基礎を学び、模擬の電話取材をもとに事件・事故などのニュース原稿を書く実習もあります。
実際に自分で原稿を書いてみると、読んで伝える際にどこが重要なのか、また行間のニュアンスなどに考えが及んで、より深い伝え方につながります。
また研修センターの近くの商店街に出かけて取材し、それに基づいて企画を提案し模擬中継を制作する研修もあります。
このようにして放送に携わる者として大切な、ものを見る目、伝える感覚の基礎体力を鍛えています。
同時にアナウンスの実践的な訓練も深めています。
球場に出かけて、大学野球の公式戦で実況の練習をしたり、研修センターの庭で天気中継の実習をしたりしています。
東京消防庁の協力で災害時の緊急報道の訓練も行いました。
救急車のサイレンや重機のエンジン音が鳴り響くなか、マンションの倒壊を想定した現場で救出訓練に当たるハイパーレスキュー隊を目前にしての現場中継は、緊張感漂うものでした。
毎日の研修では、よりよい放送に向けてのアナウンサーとしての取り組みを指導したり、技術的な面をアドバイスしたりします。とりわけニュースの伝え方は、自分が主に担当している仕事でもあり熱が入ります。
アドバイスをしたあとに読みが上達したり前進したりした時には、新人たちの表情もぱあっと明るくなり、手伝ったこちらもとてもうれしくなります。
研修期間中の「ニュース7」の放送はふだんにもまして力が入ります。
新人たちにアドバイスしていることを自らきちんと実践しなければなりません。
人を育てることは自分が育つことだと、しみじみ実感しています。
13人の新人アナウンサーたちは研修を始めた4月当初に比べて、ずいぶんたくましくなりつつあります。
日々すくすくと成長する若葉のような13人を、5月下旬、各地の放送局に送り出します。応援よろしくお願いします。
投稿者:野村正育 | 投稿時間:09:42