外務省、国土交通省、法務省、警察庁などは8日、中国人向け個人観光ビザ(査証)の発行要件を7月1日から大幅に緩和する方針を固めた。現在は年収25万元(約340万円)程度以上の富裕層に限っている発行対象を年収3万~5万元(約41万~68万円)程度の中間層まで一気に引き下げ、発行する地域も内陸部や東北部に広げる。4億人を超す中間層の観光需要を取り込み、日本国内でのデジタル家電などの販売拡大にもつなげる。月内に正式決定する。
日本政府は中国人(香港、マカオを除く)が日本に15日間滞在できる観光ビザを2000年に解禁。当初は添乗員が随行する団体旅行客に限定していたが、09年7月からは年収25万元程度以上の富裕層のみを対象として北京、上海、広州の3カ所で個人旅行客への発行も始めた。
関係省庁は不法滞在や観光客を装った犯罪組織構成員の流入など主に治安上の懸念から、発行条件の一段の緩和を慎重に検討してきた。昨年7月の緩和以降、今年3月までに個人観光ビザで入国した約1万6000人の中国人のうち、滞在中に所在が不明となった事例はなく、中間層への拡大は可能と判断した。
調整中の新たな発行要件は(1)(VISAやマスターカードなど)大手発行のクレジットカードを保有(2)官公庁や大企業の課長級以上(3)年収3万~5万元以上の安定収入がある――などの条件を総合的に勘案する案が有力。外務省の内規とし、各在外公館が発行の可否を判断する基準に用いる。
ビザ発行の事務を取り扱う窓口もこれまでの3都市に加え、重慶、瀋陽、青島、大連など中国にあるすべての日本の在外公館に拡大する。
政府は現地職員を増やすとともに、旅行者の申請を代行する旅行会社への認可も現在の48社から200社程度に増やす。来日中に失踪(しっそう)したり、犯罪にかかわったりしたケースが出れば仲介会社の認可の停止や取り消しなどで厳しく対応する方針だ。
通商白書によると中国では世帯の可処分所得が5001~3万5000ドル(約46万~320万円)の「中間層」は08年時点の推計で約4億3700万人。13億の中国人口の約3分の1を占める。富裕層に比べ、来日旅行者数の飛躍的な拡大が見込める。
国際観光振興機構が07年に実施した調査では、中国人観光客のお土産などの物品購入費が欧米からの観光客などを抑えて世界トップだった。政府には景気低迷が続くなか、日本国内での消費支出拡大につながるとの期待もある。政府は6月にまとめる成長戦略にもビザの発行要件緩和を盛り込む方針だ。
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