長崎県五島市とJAごとうは連名で1日から、市民に南九州方面への旅行自粛を求める文書配布を始めた。宮崎県で発生した牛や豚などの伝染病、口蹄疫(こうていえき)の被害が拡大傾向にあるため。「過剰反応」との声も出ているが、市は「感染牛が一頭でも出れば五島の畜産は壊滅する」と配布を続ける方針。
「口蹄疫の侵入防止のため、当分の間、南九州方面へのお出かけは自粛を」とのA4判のチラシ。市の広報紙と共に町内会を通じて全1万7446世帯に配る。畜産は同市の主要産業で、農業産出額約56億6000万円の約4割を占めるため、市とJAが協議して決めた。
ただ、五島の観光や物販などへの悪影響を懸念する声もあり、長崎県畜産課は「畜産関係者には極力発生地域に近づかないよう求めているが、一般市民には少し厳しいのではないか」と困惑している。
同市は1日から定期船や航空便の乗降口に消毒マットを敷いて防疫する水際作戦も始め、当分の間続けるとしている。【椿山公】
毎日新聞 2010年5月2日 西部朝刊