「いかれた鳩山首相」は“誤訳”だった
【政治・経済】
2010年05月01日 掲載
悪意丸出し 読売新聞
米紙ワシントン・ポストのコラムニストが〈いかれた鳩山首相〉とこき下ろした問題で、同紙は28日付で続報コラムを掲載した。「言いたかったのは『現実離れ』という意味だ」と“説明”、日本の新聞はあたかも同紙が釈明、謝ったように伝えていたが、真実はまったく違う。
そもそも今回の混乱は、コラムにあった「loopy(ルーピー)」という英単語を、日本のメディアが「いかれた」「愚か」と“誤訳”したことにあるのだ。
確かに英和辞典には、「loopy」の意味として「(頭の)いかれた」「愚かな」という記述はある。しかし、在米23年のジャーナリスト・佐々木香奈氏はこう言う。
「辞書だけを頼りに、記事の全体像や現地の様子を無視して英単語を訳すと間違えるといういい例です。このコラムの『loopy』は、『つかみどころのない』『訳の分からない』という意味で、小バカにしているところはありますが、悪意はありません。言語学の修士課程にいる友人にも確認しましたが、『現実離れしていて物事のとらえ方がずれていて、焦点が定まっていない、変なヤツ』というのが正解です」
コラムニストが2度目のコラムできちんと説明したように「現実離れ」というニュアンスなのだ。宇宙人首相だから、こう言われるのはしょうがないが、鳩山首相は党首討論で自らを「愚かな首相」と呼んでしまった。藤崎一郎駐米大使もコラムに対し「失礼だ」と怒った。どうも外務省もわかっていなかったのではないか。だから首相に正確な和訳が伝わらず、首相が卑下した答弁をすることになったのである。
外交評論家の小山貴氏が警告する。
「こうした誤訳は過去にもあります。大統領就任前のクリントンのインタビュー記事を朝日新聞が誤訳したことがありました。朝日はクリントン発言として『日本の市場開放が不十分なことが、米国民が日本人を本当に尊敬できない現状につながっているとの認識を示し、これまでの対日姿勢からの転換を示唆した』と報じました。この記事がきっかけで、クリントンが日本嫌いという論調が定着した。しかし朝日は、1週間後に小さく『米国民が日本で尊敬されるような政策を米国はもっていない』という訳に訂正したのです」
〈いかれた鳩山首相〉と最初に訳したのは読売新聞だった。悪意丸出しの“誤訳”である。
そもそも今回の混乱は、コラムにあった「loopy(ルーピー)」という英単語を、日本のメディアが「いかれた」「愚か」と“誤訳”したことにあるのだ。
確かに英和辞典には、「loopy」の意味として「(頭の)いかれた」「愚かな」という記述はある。しかし、在米23年のジャーナリスト・佐々木香奈氏はこう言う。
「辞書だけを頼りに、記事の全体像や現地の様子を無視して英単語を訳すと間違えるといういい例です。このコラムの『loopy』は、『つかみどころのない』『訳の分からない』という意味で、小バカにしているところはありますが、悪意はありません。言語学の修士課程にいる友人にも確認しましたが、『現実離れしていて物事のとらえ方がずれていて、焦点が定まっていない、変なヤツ』というのが正解です」
コラムニストが2度目のコラムできちんと説明したように「現実離れ」というニュアンスなのだ。宇宙人首相だから、こう言われるのはしょうがないが、鳩山首相は党首討論で自らを「愚かな首相」と呼んでしまった。藤崎一郎駐米大使もコラムに対し「失礼だ」と怒った。どうも外務省もわかっていなかったのではないか。だから首相に正確な和訳が伝わらず、首相が卑下した答弁をすることになったのである。
外交評論家の小山貴氏が警告する。
「こうした誤訳は過去にもあります。大統領就任前のクリントンのインタビュー記事を朝日新聞が誤訳したことがありました。朝日はクリントン発言として『日本の市場開放が不十分なことが、米国民が日本人を本当に尊敬できない現状につながっているとの認識を示し、これまでの対日姿勢からの転換を示唆した』と報じました。この記事がきっかけで、クリントンが日本嫌いという論調が定着した。しかし朝日は、1週間後に小さく『米国民が日本で尊敬されるような政策を米国はもっていない』という訳に訂正したのです」
〈いかれた鳩山首相〉と最初に訳したのは読売新聞だった。悪意丸出しの“誤訳”である。