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論説
口蹄疫/まん延と風評被害防げ
掲載日:2010-4-21 12:34:00

 宮崎県の和牛繁殖農家で20日、家畜伝染病である口蹄(こうてい)疫の疑似患畜が確認された。農水省は口蹄疫防疫対策本部を設け、同県と共に今後の防疫措置の協議に入った。疑似患畜の牛は家畜伝染病予防法に基づき殺処分となる。もし、ウイルス分離検査による確定診断でウイルスが確認され、患畜と断定されると、2000年に宮崎県と北海道で確認されて以来、10年ぶりの発生となる。当時の対策を十分念頭に置き、国や自治体、研究機関、産地の総力を挙げ、防疫態勢を徹底し、感染ルートの解明と早期の清浄化を達成するよう望みたい。

 韓国で1月に口蹄疫の発生が確認されてから、国内の畜産産地を抱える自治体や関係者は警戒を強めていた。同国への渡航自粛、空港・港湾などで清浄マットを配置するなど水際対策を強め、飼養衛生管理を徹底してきた。侵入経路は不明だが、警戒の中で疑似患畜が見つかったことに産地はじくじたる思いだろう。

 口蹄疫は、ウイルスの感染によって起こる急性熱性伝染病。牛や豚、めん羊、ヤギなどの家畜をはじめ、ほとんどの偶蹄類動物が感染する家畜伝染病だ。極めて伝染力が強く、発病に伴う発育障害や運動障害、泌乳障害により、大きな経済的被害が生じる。国際的にも最も警戒すべき家畜の伝染性疾病の一つであり、同法の中でも特に総合的な発生予防とまん延防止の措置が必要な特定家畜伝染病に指定されている。

 重要なのは、病気の被害を最小限に食い止め、かつ早期に根絶して清浄化を達成するための防疫対策を強化することと、侵入・感染経路の早期解明だ。防疫対策は、疑似患畜、患畜のと畜処分、畜舎の消毒などのまん延防止措置を早急に行い、人も含めて通行を制限する。地域の経済的な損失や生活の不便は、一定に我慢するしかない。畜産の盛んな地域で、仮に感染が、個体数が多く密飼いの豚にも及ぶとなれば、対策は極めて困難になる恐れがある。被害発生は最小限に食い止めなければならない。

 一方、国内への感染経路はまだ、類推するしかない。感染動物が入ったのか、わらや乾草、飼料などからか、また鳥や人などに付着して侵入したものなのか。さまざまなケースを想定し、国は全力を挙げて要因と経路を速やかに明らかにするべきだ。

 口蹄疫は怖い病気だが、過度の恐怖心をあおることは禁物だ。農水省が注意を呼び掛けるように、偶蹄類の動物に限られた病気であり、人に感染することはない。感染牛の肉や牛乳を摂取しても人体には影響ない。消費者らには病気の発生と防疫対策の進み具合とともに、人への影響がないことを正しく伝える努力をしていくべきだ。報道機関も風評被害で産地に痛手を与えないよう、正確な情報提供に努めたい。

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