ホテルにビーチ、ヨットハーバーや国際会議施設などを有する宜野湾市の西海岸は、県内の埋め立て地の中では最も成功、発展した地区の一つといっていいだろう
▼今では想像できないが、30年ほど昔は無愛想なコンクリートの護岸の辺りに、アザミや蒲(がま)が生い茂る殺風景な海だった。ただ沖合には自然が残り、父や兄弟とよく潮干狩りに出掛けた。タコ、トコブシ、ティラジャー(マガキガイ)、ちょっと探せば晩のおかずになるほど収穫があった
▼同じ喜びを息子に伝えようと、宜野湾はじめ中南部の海に繰り出しているが、バケツは軽いまま帰路に就くことが多い。腕が悪いのか、貝が減ったのか
▼5年ぶりにやんばるの海に潜ったという友人は先日、驚きながら話していた。「ほんと、沖縄は魚が減ったよね」。陸の人間が気づいていないだけで、海の生き物にとってはかなり住みづらい環境になっているのかもしれない
▼きょうは旧暦3月3日の「浜下り」。女性たちが海水で身を清め、健康を祈り、ごちそうを楽しむ日とされる。この時季は1年で最も干満の差が大きく、各地の海は潮干狩りでにぎわう
▼ぐずついた日が続いたが、きょうの予報は雨のち晴れ。自然が私たちに何を言わんとしているのか、目を凝らし、耳を傾けながら春の海に入ってみるのもいいのでは。(平良秀明)