望 〜都の空から
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【政治】洋上風力で原発10基分 政府素案 10年以内達成目指す2010年5月9日 朝刊 政府の総合海洋政策本部(本部長・鳩山由紀夫首相)が検討している「海洋再生可能エネルギー戦略」の素案が八日、明らかになった。海洋に風力発電設備を設け、二〇二〇年までに原子力発電所十基分にほぼ相当する一千万キロワット以上の電力を生み出す。直径百二十メートルの大型風車が二千基以上稼働する計算だ。波力や潮流を使ったエネルギー技術も開発。一二年から実施し、温室効果ガス削減や沿岸部振興につなげる。 洋上風力発電の普及には大型風車の開発や、工事用の特殊船舶の建造などが必要とされ、鉄鋼、機械、造船といった産業への波及効果も大きい。政府は六月に策定する成長戦略に、洋上発電の支援を盛り込む考えだ。 洋上発電は陸上で問題になっている風車の低周波音や騒音の被害を避けられる。ただ陸上に比べ設置費用がかさみ、地震や台風への対策や、安定稼働のための技術開発が課題とされる。周辺海域で操業する漁業者との権利調整も必要だ。 国内では現在、北海道せたな町などで十四基が稼働しているが、発電量は計一万一千キロワット程度で、二百万キロワット超の欧州に比べ普及が遅れている。 政府は一年後をめどに財政支援などの具体案をまとめる。具体的には、研究開発、発電設備の建設に対する補助や公的融資が検討される見通しだ。企業などが洋上風力発電などを手掛けた際、電力会社が海で生み出された電力を買い取る制度づくりも想定。波力や潮流を利用した発電を実験している研究機関やベンチャー企業も後押しする。 大型風車には一万点以上の部品が使われる見込みで、発電設備の設計、海洋工事などで大規模な雇用創出も期待できる。 米政府は三〇年までに洋上風力発電による発電量を原発五十四基分まで増やす計画。英政府も洋上風力発電による七万人の雇用確保案を示している。
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