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中央道3人死亡 路肩のパンク修理危険 専門家指摘「まず車から離れ、連絡」

突然の悲報、知人らショック

中央道上り線でパンク修理中に大型トラックに衝突された乗用車(8日午前11時35分頃、甲府市下今井町で)
3人をはねた大型トラック(本社ヘリから)=竹田津敦史撮影

 甲府市下今井町の中央道上り線で8日午前、甲斐市篠原、県職員吉野正寛さん(57)と妻、長男の3人が大型トラックにはねられ死亡した。吉野さんらはパンクした乗用車を路肩に止めて修理していたところだった。中央道では昨年9月にもパンク修理中の男性が車にひかれて死亡しており、全国的にも同種の事故が起きている。高速道路でタイヤがパンクした場合、どう対処すればよいのか。

 県警高速隊によると、事故現場の路肩は幅1メートル40センチだが、吉野さんの車は約30センチはみ出していた。ハザードランプは点灯しておらず、停止表示板や発煙筒も置いていなかったという。

 湯村自動車学校(甲府市)の専務、藤原隆幸さん(62)は「路肩では絶対に修理せず、車から離れて安全を確保して速やかに連絡する必要がある」と訴える。

 藤原さんによると、パンクしたら、車体がはみ出さない十分に幅のある路肩に止めるのが原則だ。近くに広い路肩があり車が動くなら、ゆっくりと安全な場所まで移動してもいい。

 車を止めたら、車の後方10〜20メートルに車に常備させた三角表示灯や発炎筒を置き、ハザードランプを点灯させて後続車に知らせる。目立つようにトランクを開けるのも効果的だ。ガードレールの外など道路外に避難し、防護壁などで道路外に出られない場合は車から20〜30メートルは離れた方が安全という。

 安全を確保したら、速やかに通報する。携帯電話なら道路緊急ダイヤル(#9910)か、日本自動車連盟(JAF、#8139)にかける。高速道路に1キロおきに設置してある非常電話も使える。迅速な連絡によりハイウエーラジオや電光掲示板で、後続車に注意を促すことができるという。

 タイヤの劣化摩耗がないか、空気圧が適正かどうか事前点検することも重要だ。

     ◇     ◇

 突然の悲報に知人らの間にショックが広がった。

 吉野さんは技官として県峡南建設事務所で働いていた。上司の小池一男・県土整備部長は「誠実でまじめな性格で人望も熱意もあった。気の毒で本当に残念だ」と肩を落とした。

 妻の恵美子さん(49)と親しかった甲斐市篠原の介護士山寺幸子さん(50)は「悩みを相談すると励ましてくれた。心が広くて頼りになる存在だった。互いの子供が大きくなったので、共通の友人を訪ねる旅行でもしようと言っていたのに」と目を潤ませた。

 長男で山梨大学大学院1年の雄太さん(22)は応用化学を学び、研究者を目指していた。冗談で友人を笑わせる明るい人柄だった。幼なじみの東京都立川市、会社員望月龍也さん(22)は「事故を知って仕事が手につかず早退してきた。『また一緒に飯を食おう』と話したばかりだった」と声を詰まらせた。

 吉野さん一家が住む集合住宅の大家、田中愛子さん(76)は「子供2人も立派に育ち、幸せそうに暮らしていたのに残念で言葉がない」とうなだれた。

2010年5月9日  読売新聞)
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