【社説】全教組所属の教師が出した高1のテスト問題

 与党ハンナラ党の趙全赫(チョ・ジョンヒョク)議員が、ソウル市内のある高校で行われた1年生の中間テストの問題を公開した。科目は「政治」で、出題したのは全国教職員労働組合(全教組)に所属する教師だ。趙議員は、ファクスでこのテスト問題の提供を受けたという。このテストは先月27日に行われたもので、問題は「国家の目的」とその説明文、そして「李○○政権2年討論会」での4人の大学教授の発言などを生徒に読ませた上で、そこから結論付けることのできる「国家の性格」について、与えられた五つの選択肢から誤ったものを選ぶというものだった。「国家の目的」についての説明は、「国家は市場経済で提供することが困難な安全保障・秩序維持・公共の福利などの公的サービスを提供する」などというもので、「李○○政権2年討論会」というタイトルが付された二つめの項目では、4人の大学教授が「李○○政権」に対して下した評価について要約したものなどが記載されていた。

 「李○○政権」が現政権を指すのは誰が見ても明らかで、一人の教授は「庶民に配慮した中道実用政策が政府の支持率を引き上げた」として、政府への一方的な肩入れや批判なしに事実を叙述した。しかし残り3人の発言は、「“富裕層が豊かな生活をすれば、貧困層にもその恩恵が回る”という趣旨の減税、企業重視の政策により、庶民の生活が苦しくなった」「市場経済を重視する政策は、市場が社会を破壊するという事実を忘却している」「福祉需要が急速に高まっているにもかかわらず、減税や市場の拡大へと向かっている」など、政府を批判する内容だった。結局この問題は、提示された説明文を分析した五つの例文のうち、「国民は李○○政権を選ぶという正しい選択を行い、その結果、幸福になった」という文章が間違っているとして、これを選択させるものだった。

 政府の政策に対する評価は、各自が持つ価値観によって影響を受けるのは避けられない。「国の経済力をまず高めれば、それに伴って福祉も向上する」という考え方もあれば、「政府は積極的に福祉政策を推し進めるべき」という考え方もある。高校の教師が「成長優先」「福祉重視」という二つの政策の違いについて教えたいのであれば、双方の長所と短所をそれぞれ提示する程度にとどめるべきだろう。しかし該当の教師は、「政府が市場重視の政策を展開しているため、国民が不幸になった」という考え方を持つよう生徒たちを誘導している。これこそまさしく、巧妙な反政府洗脳作業だ。中立的に指導を行うという思いが少しでもあれば、行き過ぎた福祉政策への支出により国が倒産する危機にあえいでいるギリシャの事例なども紹介していたはずだ。

 全教組に所属する教師は現在、全国に7万人いるといわれているが、そのうち児童・生徒に対してこの種の洗脳を行おうとする教師が3分の1いると仮定しても、その数は2万人を超える。教師2万人が全国各地で生徒たちに政府への憎悪や怒りを植え付けようとしているとしたら、これは想像するだけでも恐ろしいことだ。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

このページのトップに戻る