【コラム】中国は中国の味方だ(下)

 わたしは、中国が金正日政権の限界をすでに把握しており、韓半島(朝鮮半島)の統一は南側によってなされるしかない、という現実を理解していると考えている。しかし、中国が全面的に大韓民国の味方に回らないのは、われわれにも問題があるのではないか。

 1990年代半ば、北朝鮮で大量の餓死者が発生し、北朝鮮から数万人以上が中国に脱出した。延吉の鉄道駅は北朝鮮の孤児であふれ、至る所で北朝鮮住民の姿が目に付いた。こうした状況の中、中国の苦悩は深まるほかなかった。当時、大韓民国が率先し、飢えで脱北した北朝鮮住民を全員受け入れると言っていたなら、彼らが拒否する名分はなかったはずだ。しかし、この重要な問題に、韓国政府は関心を払わなかった。金総書記はむしろ中国に圧力を加え、脱北者の強制送還を強く求めた。中国は、韓国が北朝鮮より経済的に優れていたとしても、果たして統一の主体になれるのか、という疑念を持たざるを得なかっただろう。

 98年から始まった韓国政府の太陽政策は、崩壊寸前の金正日政権を延命させ、核とミサイルを誕生させた。中国さえも放棄した金正日政権を韓国が援助し続けたことで、むしろ中国を困難な立場に追いやったのではないか。

 これまでに韓国入りした脱北者は2万人を超えるが、中国で韓国公館の支援を受け、自由を手に入れた人は一人もいない。むしろ、大使館の門前で北朝鮮住民が中国の公安に逮捕され、北朝鮮に送り返されたケースも多々ある。

 中国は結局、中国自身の味方なのだ。中国が米国をけん制するために北朝鮮を利用しても、同じ側に立つにはあまりにも変わってしまった、というのが、北朝鮮で暮らした多くの人々が持つ共通の考えだ。

姜哲煥(カン・チョルファン)東北アジア研究所研究委員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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