【コラム】中国は中国の味方だ(上)

 「金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)はどうしてああなのか。人民をあんなにいじめるなんて。社会主義国家でも人々は食べていかなければならないのに。自分たちだけ腹をふくらませて悪いやつらだ」。18年前、北朝鮮を脱出して初めて中国の地に足を踏み入れたとき、朝鮮族の女性たちが偉大な首領に対して浴びせた非難の声に、かなりの衝撃を受けた。

 北朝鮮を訪問したことのある中国人は皆、金日成親子を非難した。北朝鮮の現実を目の当たりにした人なら誰でも、怒りがこみ上げるのだろう。

 北朝鮮を知る中国人のうち、金総書記を正常と見る人は誰もいない。むしろ、北朝鮮をよく知らない韓国の左派より中国人の方が、はるかに北朝鮮について正確に理解し、適格に対処している。

 哨戒艦「天安」の沈没事故後に行われた中朝首脳会談を見て、韓国人は「結局、中国は北朝鮮の味方だ」と言うが、北朝鮮出身のわたしはそうは思わない。

 すでに中国は、2回も北朝鮮の意に反する道を選んだ。1992年、金日成親子が引き止めたにもかかわらず、韓中修交を断行したことで、北朝鮮体制にショックを与えた。ファン・ジャンヨプ元労働党書記は、「当時、毛沢東やトウ小平の久しい戦友だった金日成が、その知らせを聞いて衝撃を受け、寝込んだほどだ」と話した。

 また1997年、ファン・ジャンヨプ書記が北朝鮮を脱出した際、金正日総書記はファン書記の送還のため、国力を総動員して中国に圧力を加えた。しかし、中国はファン氏を北朝鮮に送り返さなかった。この件について北朝鮮内部では、ファン氏が亡命したことよりも、中国が金総書記の要請を聞き入れなかった事実に大きな衝撃を受けた。北朝鮮はそれ以来、中国を血盟国とは考えなくなり、中国の反対にもかかわらず、独自の核開発を断行するに至った。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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