【社説】天安沈没の証拠を確保し多方面で対策準備を
哨戒艦「天安」の沈没原因を調査している民間と軍の合同調査団は、引き揚げられた船体などから、魚雷のものとみられる火薬成分を検出した。政府関係者は「船体と沈没地点の海底からRDX火薬の成分が検出された」「白い結晶になっていたRDXは、機雷ではなく魚雷に使われるもので、破壊力はTNTと比べると50%以上強力な火薬だ」などと述べた。
天安の沈没原因が機雷と偶然に接触して爆発した事故によるものではなく、「何者か」が天安に向けて魚雷攻撃を行ったという事実が改めて証明されたのだ。現在残る課題は、その「何者か」が誰かを解明することだ。火薬成分の分析により、製造国を特定することはできるが、検出された量がわずか100億分の1グラムと微量なため、「何者か」を解明できるかどうかはまだ分からない。
しかしこれだけでも、大韓民国の国民はもちろん、「金正日(キム・ジョンイル)集団」の過去の行動について知る国であれば、犯人は誰か、確信を持つことができるだろう。ただし、天安の調査結果を国際社会が完全に受け入れ、その結果に伴う責任追及に各国を賛同させるには、高純度の物証が必要になってくる。1987年の大韓航空機爆破テロの際には、逮捕された犯人が犯行のすべてについて具体的に証言したにもかかわらず、国連安全保障理事会ではソ連と中国、そしてこの両国に追従する一部理事国が「証拠不十分」と反論した。今後は船体や海底から収集したアルミニウム合金やプラスチックの破片を詳しく分析し、証拠を明確にしなければならない。主要な武器製造国は、軍事用合金技術をそれぞれ独自で開発しているため、X線や中性子解析などで製造国を識別することができる。
今後、政府がやるべきことは、より多くの証拠を確保し、犯行を行った国とその背後にいる国が言い逃れできないよう、国際的な包囲網を狭めることだ。北朝鮮は中国、ロシア、イラン製の魚雷を保有しているという。製造国が明らかになっても、これらの国の協力がなければ、犯人はそのスキを利用しようとするだろう。政府は、犯人を追い詰めるのにかなりの時間がかかることも想定しなければならない。英国も1946年のコルフ海峡事件では、3年かけた調査の末に、爆発原因がドイツ製の機雷であることを突き止め、1991年になってアルバニアから賠償金を取り立てた。
政府はまず、武器製造国の協力を確保しなければならない。その上で、わが国が使える長期、短期の軍事的・政治的・経済的手段をいかに組み合わせれば、最も効果的な制裁を引き出せるか、検討する必要がある。そしてその手段を用いて、同盟国や周辺国、そして国連や国際機関からの協力を確保するなど、多方面からの対策を準備しておかねばならない。
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