【コラム】済州島に別荘を買う中国の金持ち
海底がはっきり見えるほど澄んだ海、とめどなく押し寄せる波、新鮮な魚が獲れる海釣り、独特の火山地形-。王さんは済州島の魅力を称賛し続けた。だが、その程度の魅力だけで済州島に別荘を買おうという気になったはずはない。
王さんが別荘購入を考えるのには、いくつかの実質的な理由がある。まず、北京から飛行機で1時間半しかかからず、週末の休養地に最適である点だ。済州島に似た環境を持つ中国の海南島、タイのリゾートまでは4時間以上かかる。
また、済州島の別荘価格が1メートル当たり2万元(約26万6000円)前後と安価である点も魅力だ。昨年価格が高騰した海南島の海岸部の別荘は、1メートル当たり3万元(約39万9000円)するという。さらに、50万ドル以上(約4500万円)の別荘を購入すれば、5年間の居住後、永住権を付与するという制度も競争力があると評価されている。王さんは、「中国人がこれまで香港の永住権を取得するために80万-90万ドル(約7300万-8200万円)を投じてきたことを考えれば、50万ドルは魅力的な水準だ。既に友人2人が済州島に別荘を購入した」と語った。
今月8日に北京市の高級ホテルで開かれた済州特別自治道の投資説明会には、中国の不動産開発会社やマーケティング会社の関係者だけでなく、王さんのような個人投資家約150人も出席した。会場の外では、済州島のリゾート開発会社8社による即席の分譲説明会も行われた。
中国側の出席者は、全体的には済州島の投資魅力を評価したが、一方では、投資条件やインフラに対する冷ややかな評価や厳しい意見も相次いだ。
国際学校や英語教育センターを設置し、英語教育の環境を整える計画について、あるコンサルタントは、「英語教育でオーストラリアやカナダなど英語圏と競争するのは不可能だ」と切り捨てた。それよりは医療施設やサービス面を強化し、リゾート地に特化すべきとの主張だ。ある専門家は、「人口が60万人に満たない済州島に大規模なビジネス投資を誘致するのは厳しい」と投資価値を低く見積もった。
観光インフラに関しては、一様に評価が低かった。飛行機の予約システム、観光地へのシャトルバス、中国語標識、レストランなど各分野でシンガポールやタイなど競争国と比べてレベルが劣るとの指摘だ。ある出席者は「週末に済州島に行くには、少なくとも10日前に予約しなければ航空券を購入できない。飛行機の利便性が改善されるだけでも中国人観光客は倍増するはずだ」と指摘した。
昨年中国から海外に出かけた観光客は4700万人に達したが、このうち韓国を訪れた観光客は全体の2.9%に相当する134万人にすぎない。増えつつある中国人の海外不動産投資も米国、欧州、東南アジア、アフリカなどが主なターゲットとなっている。
王さんは別れ際に、「韓国も金を稼ごうとしなければ」と言い残した。つまり、中国人を誘致するためには、韓国もライバル国を上回る投資条件や観光インフラを整えるべき、との注文だった。
北京=崔有植(チェ・ユシク)特派員
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