形だけの校長公募制、教育庁の思い通り(下)

 ソウル市江南区にあるA小学校に通う児童の保護者キムさん(44)は、「校長になる資格のある人を対象に公募が行われるため、保護者が選択できる数は最初から少ない。その上、候補者の順位も決められないのであれば、結局は教育庁がすべて決めるのと同じ」と話す。

 不満を持っているのは保護者だけではない。ソウルのある中学校で教頭をしているAさんは、3月末から時間があるたびに、自宅周辺のB中学校の保護者が求める学校政策について研究してきたが、今はその研究も取りやめた。保護者を納得させられるだけの政策を定めて支援を行っても、結局は地域の教育庁による2次審査に提出するスペック(学歴や経歴などの外的な条件)がより重要と判断したからだ。Aさんは「これまでずっと学校で働いてきたため、教育庁の奨学士(教育目標・教育内容・学習指導法などについて、教育現場への指導・助言を行う専門職公務員)経験も、外部での受賞経歴もない。保護者からの支持を集めれば校長になれると思っていたが、結局は教育庁の審査を通過しなければならないため、以前の制度と何も変わっていない」と不満げだ。

 このように、現場では不満の声が相次いでいるが、ソウル市教育庁は2次審査を新たに設けたことについて、「制度の安定性を高めるため」と説明している。ソウル市教育庁中等教育課のイ・ジュンスン課長は、「1段階だけでは学校審査委員会が特定の校長候補者と癒着する可能性があるが、2次審査はこれを教育庁の次元で阻止するものだ。2次審査には外部委員も名を連ねているため、審査は公正に行われるだろう」と主張する。

 しかし教育関係者は、「この2次審査は結局、教育庁公務員の思い通りになるだろう」と予想する。7人の審査委員のうち3人が教育庁関係者で、残りの4人も教育庁が推薦する人物で占められるからだ。

 中央大学教育学科のイ・ソンホ教授は、「各学校の特性、条件、現状などを十分に考慮し、学校構成員が適切な人物を選択するのが、校長公募制の重要な趣旨だ。ソウル市教育庁のように教育庁が決定権を持つのであれば、校長公募制は有名無実化してしまうだろう」と指摘する。

オ・ヒョンソク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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