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PJ: 長迫 厚樹

外国人参政権賛成論者は正面から議論せよ
2010年05月07日 09:13 JST


国会議事堂(PJニュース資料写真) 

昨年末ぐらいから民主党政権は外国人参政権法案を提出しようとしたが、党内からも根強い抵抗があり事実上、見送りになっている。私は「条件付き容認」の立場である。現時点ではまだ早過ぎるが、問題点と事実を明らかにするために導入を検討して、もっと議論をするべきだ、そういう意見である。

ところで、この問題は日本の政治にとって重大な問題であるにもかかわらず、ほとんど議論されていない。色んな所で批判されていることだが、民主党は昨年の総選挙で外国人参政権を選挙公約に載せていない。また、法案を提出すると言いながら、驚くことに党として内容を一切公表していない。さらに困ったことはメディアはほとんどこの問題について報じていない。

外国人参政権を推進してきた在日本大韓民国民団(民団)を始めとして推進論者は、最近の反対意見の盛り上がりを「右翼によるネガティブキャンペーン」と批判する。だが、日本国民の多くは、そもそも内容をほとんど知らされていないのであり、不安になるのも当然だろう。

一応断っておくと、私は2004年〜2005年にかけて約1年半、韓国ソウルに語学留学したことがある。在日コリアンの知人・友人もいる。地元広島で韓国語を学んでいる知人女性と、最近、この問題について話して分かったことだが、一般の人は民主党政権が推進している外国人参政権問題についてほとんど知らされていないのである。

例えば、1995年に外国人地方参政権を認めたとされる最高裁判決があるが、あくまで地方選挙における選挙権のみを「容認」したに過ぎない。つまり被選挙権と国政参加権は「違憲」である。さらにいうと、この裁判の趣旨は、大阪在住の在日コリアンの原告らが「外国人であることを理由に選挙人名簿に登録されないのは差別だ」と言って訴えたものだが、訴えそのものは認められなかった。つまり「原告敗訴」の判決である。

また、運動が始まったいきさつは「在日コリアンは歴史的に国籍選択権が与えられなかったから救済措置として選挙権を」「在日コリアンは全然から日本に住んでいるが、何十年も住んでいる外国人に選挙権を与えないのは日本だけ」という理屈だった。あるいは自民党内で推進派だった野中広務氏は「日韓議員連盟で日韓相互で地方選挙権を与えようと合意した」と証言する。

ところが、民主党内の推進派議員連盟が作成した提言によると、対象者は「朝鮮籍を除くすべての永住外国人」となっている。現在、日本の永住外国人は特別永住者41万人、一般永住者51万人だが、前者から朝鮮籍者を除外すると外国人有権者の大部分は一般永住者になる。そして現在は最短10年で永住ビザを取得できる。推進論者は問題点をすり替えているのではないか。

ちなみに朝鮮籍者を除外する理由は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が「日本への同化につながる」として反対しているための政治的配慮である。つまり「外国人参政権は外国人の人権問題」という論理を自ら否定したことになる。

そしてこれは、問題の核心であり、推進論者が触れようとしない問題であるが、一体どのような国際関係を目指しているのだろうか。在日コリアンは日本と朝鮮半島の仲介者になろうとしているのか、それとも日本は南北コリアの言い成りになれというだろうか。推進論者は堂々と議論するべきではないだろうか。【了】

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