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【ドラニュース】


中田賢、復活祝いだ

2010年5月8日 紙面から

中日−ヤクルト 2回表2死二塁、藤本の三邪飛を指さす中田賢=ナゴヤドームで(谷沢昇司撮影)

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 お帰り、賢ちゃん。中日・中田賢一投手(27)が7日、ヤクルト戦(ナゴヤドーム)で今季初登板初先発、8イニング4安打1失点と期待通りに好投した。自身に勝ち星はつかなかったが、今季4度目のサヨナラ劇を呼ぶ力投は、完全復活を確信させた。好リードで引き立てた谷繁元信捕手(39)が9回2死満塁、通算11度目のサヨナラ打。今度は中田賢が投げている間に打ってあげて!!

 苦しんだ。悲しんだ。でも中田賢はすべてを糧にして帰ってきた。8イニングを4安打1失点に抑えた。勝ち投手にこそならなかったが、白星にも等しい内容。落合監督も賛辞を贈るばかりだった。

 「ここ何年かでは、一番よかったんじゃないかな。中田に勝たせたかったな。ああいうピッチングをしてただけに」

 開幕37試合目でようやく迎えた初登板。本当はもっと早くマウンドに上がりたかった。昨年が5勝止まりだったこともあり、強い決意を持って迎えたプロ6年目。「オープン戦でアピールしなければいけない立場。結果を残して、開幕ローテに入りたい」。通算41勝の実績も忘れ、早いペースで調整を進めてきた。グアムでの自主トレでは1月にして、フリー打撃での登板も敢行した。

 順調に進んでいたはずの調整。キャンプ中盤、まさかのアクシデントに襲われた。右前腕痛。しばらく、ボールを握ることすらできなかった。その後もなかなかピッチが上がらない。開幕ローテの目標もついえた。

 でも決して腐らなかった。「少しでも早く戻りたい」。しかも単純にリハビリするだけではなかった。進化の糧にした。リハビリと並行して、レベルアップに努めた。

 まず取り組んだのはフォームの修正。「下半身が使えていないぞ」。指摘してくれたファームのコーチ陣とともに改造に努めた。体の軸を強く意識する新フォーム。少しテークバックが小さくなった。一時期は140キロ前後にまで落ちた球速も戻り、この日の最速は148キロだった。

 高速スライダーの習得もしてきた。昨秋からの新球。ブルペンで英智らベテランに何度も立ってもらい、感触をじっくり確認してきた。「だいぶ良い形で投げられました」。従来のスライダーやカーブとの使い分けは、この日の大きな武器になった。5回まで毎回となる7三振も奪った。

 「あまりボール、ボールになる気がしませんでした」とも振り返った。死球こそ1つ与えたが、四球どころか3ボールの場面すらなかった。落合監督に「暴れ馬」と称された右腕は、制球力も身につけて復活した。

 苦しい時期を乗り越えられたのも、ともにグアムで自主トレした井端をはじめ、周囲の励ましがあったから。チームメートからトレーナーらスタッフに至るまで、電話で頻繁に連絡をもらった。「待ってるぞ」「大丈夫か」−。中田賢は「ずっと支えてくださった方のおかげで、投げることができました」と周囲への感謝は忘れなかった。

 「いい投球はできましたが、1点取られたのは悔しいですね。次はチームにも、自分にも勝ちがつくようにしたいですね」と言った。勝てなかったという一縷(いちる)の悔しさを忘れはしない。強い気持ちがまた背番号「20」の血となり肉となる。

  (清水裕介)

 

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