今年2月、虚偽報告で会見した黒澤久雄氏
佐賀県伊万里市での故黒澤明監督の記念館の建設未着工問題で、同市は7日、記念館建設のため設立された「黒澤明文化振興財団」が建設を断念し、既にある仮施設のサテライトスタジオを改装し記念館とする案を文書で提示してきたことを明かした。塚部芳和市長は会見で「記念館は造らないということ。今までの計画は何だったのか」と怒りをあらわにした。
市は財団支援のため3億5千万円を支出しており、“消えた3億5千万円”の責任追及など、波紋を呼ぶのは必至だ。
黒澤明監督の長男・黒澤久雄氏が理事長を務める財団が07年に県に提出した決算報告書では、預金などの流動資産がわずか約143万円しか残っていなかったことが判明。その一方で、財団は昨年11月、建設資金に充てるため集めた寄付金約3億8千万円を保管していると市に虚偽報告していたこともバレている。
財団の計画では、当初01年完成予定だったが、記念館はまだ着工すらされていない。