口蹄疫問題で家畜の殺処分が進む宮崎県畜産試験場川南支場。埋却処理の現場では青いシートや白い消毒剤が見える=8日午後4時14分、同県川南町、本社ヘリから、恒成利幸撮影
宮崎県で発生した家畜の伝染病、口蹄疫(こうていえき)問題で、殺処分対象となった牛や豚の埋却処理が追いついていない。感染の疑い例の発生が止まらないうえ、土地選定の難しさや移動のリスクから、農場付近で埋めるしかないが、その用地が決まっていない所もあり、人手も足りていない。畜産関係者は悲鳴をあげている。
口蹄疫は人には感染せず、感染した肉を食べても人体に影響はない。県は移動制限などで、感染した家畜の肉が市場に出回ることはない、としている。
県の発表によると、8日までに確認された豚や牛の感染確定・疑い例は49例、殺処分対象は累計で6万2426頭になった。特に豚の殺処分対象は県内の総飼育頭数の6%(約5万8千頭)まで達した。だが、ほとんどがまだ埋却処理されておらず、その用地の選定ができていないところもある。このため、ウイルス感染の恐れのある家畜も殺処分しないまま飼育を続けている。
被害が集中する同県川南町を含む児湯(こゆ)郡市畜産農協連合会の奥野福見参事は「畜産農家は『いつ我が身に降りかかるか』と、朝夕、家畜の健康が心配だ。早急に埋却を進めて、早く競りが再開できるようにお願いしたい」と語る。
実際、発生農場を中心に半径10キロに設定される移動制限区域内でみると、同町では、豚の飼育数(4月29日現在、14万5239頭)の4割が殺処分対象になっている。
県内では2009年2月現在で、豚91万4500頭、肉牛29万7900頭を飼育。それぞれ全国2位と3位を占めている。