名城は文句なしの決着を求めていた。三者三様の判定でカサレスと引き分けた前回の世界戦から約7カ月。「分かりやすい形で勝ちたい」。対戦前に何度も繰り返したが、因縁の相手に力負け。言葉通りにはならずに王座から陥落した。
なかなか主導権がにぎれなかった前回と同様に、前半からリードを奪われた。中盤から重圧をかけたが、多くのパンチを浴びる。最後まで愚直に前に出て闘う姿勢も届かずに、判定で大差を付けられた。
プロ16戦目で「過去最高」という仕上がりだった。パートナーの藤原トレーナーは「経験が生きてきた。王者としての自覚に目覚めてきている」。抜群の手応えで上がったリングでもあった。WBOの世界王座を5度防衛したこともある挑戦者の老練なボクシングに屈してしまった。
「大きな試合につながれば」。3度目の防衛に成功した場合にはビッグマッチを熱望していたが、その夢も泡と消えてしまった。