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県民大会 知事は堂々と参加表明を2010年4月11日  このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 twitterに投稿する

 仲井真弘多知事のあいまいな態度が解せない。米軍普天間飛行場の国外・県外移設を求める超党派の県民大会への参加について、9日の定例記者会見で「検討中」と述べ、慎重姿勢を崩していない。しかし知事が参加する環境は整っている。躊躇(ちゅうちょ)せず県民大会への参加を表明してほしい。
 鳩山由紀夫首相は昨年の衆院選で、普天間飛行場は「最低でも県外」と発言し、事実上県外移設を公約した。それにもかかわらず鳩山政権は、キャンプ・シュワブ陸上案や勝連半島沖埋め立て案など、県内移設を検討している。今回の県民大会は、国外や県外移設を要求する県民の強い意思を政府に突き付けることに意義がある。
 歴史を振り返れば、多くの住民を巻き込んだ沖縄戦は、大本営にとって本土決戦準備が整うまでの時間稼ぎであり、そのために沖縄は「捨て石」にされた。戦後は日本と切り離され、米軍統治下で「太平洋の要石」にされた。自治権は制限され、軍用地を強制接収され、人権蹂躙(じゅうりん)、米兵による事件事故の被害に遭った。
 施政権返還後も、国内の米軍専用施設の74%が沖縄に集中する「負担の不公平」と、その不公平を解消せず「問題を先送り」する政府の姿勢が続いた。その結果、県民の安全が脅かされている。県民は日本の安全のために再び「捨て石」になることを拒否している。
 いまや安全保障問題は中央政府だけで考える時代ではない。日米安保に詳しい佐道明広中京大学教授は「米軍基地が集中し、日本の安全保障にもっとも貢献度が高い沖縄の発言は、とくに重視されなければならない」と指摘する。
 米軍基地問題などをめぐる過去の県民大会に際し、仲井真知事は超党派であるかどうかを重要な判断基準にしてきた。超党派となった2007年9月の教科書検定に関する大会に参加している。今回の県民大会も超党派である。
 知事は9日の定例記者会見で「自民、公明ともよく相談したい」と発言しているが、自民党県連は知事の参加を求めることを決めている。新垣哲司同党県連会長は「県民代表の知事が参加するのと、しないのとでは政府に対するインパクトが全く違う」と意義を強調している。
 知事の県民大会参加は沖縄の意思が「最低でも県外」であることを政府に要求する好機である。


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