きょうご紹介するのは、渡辺雄二著『ヤマザキパンはなぜカビないか』です。
「食」に関する話題も結構とりあげる「都会育ちの田舎暮らし」ですが。
あんまり、添加物の話だとか、無農薬だとか、玄米だとか、
そういう話するの、気が進まないんですよ。はっきり言いましょうか。
だって、頭おかしい人だと思われるでしょう。
このメルマガを読んでいる人の大半は、
「都会育ちの田舎暮らし」の記事に納得する部分があるのだから、
読んでくれているのでしょうが。
普通の人に「添加物がどーのこーの」とか「玄米がどーのこーの」とか
熱心に語ったら、ああ、頭おかしいんだな、って思われます。
だって、昔の僕はそう思っていましたから。
東京にいたときは、普通にファストフードとか外食して、
レトルト食品やインスタント食品も普通に食べていて、
特に自分の体に問題感じていませんでしたから。そんな僕でした。
だから「添加物まみれの食品を食べるとガンになるわよぉぉぉ(゜△ ゜)」
とかいう発言をしているオバチャンは、頭がおかしいと思っていました。
いや、頭がおかしいとまでは言いすぎだけれど、
マクロビだとか、デトックスだとか、無添加にこだわるだとかってのは、
ちょっと宗教入ってるんじゃねぇか、って思っていましたよ。
実際、田舎に来てからも、意識的に添加物を避けようとか、
していなかったんです。最初は。
ただ、住んでいる土地がド田舎なものですから、
自然とファストフードとかから、遠ざかっていったんです。
だって、マックや吉野家に行くのに、高速道路使わないといけないんですから。
それに、近所の農家さんが作った野菜をもらったりしていると、
自然と、食生活が健康的なものに近づいていったんです。
そんな生活が1年ほど続いた、去年の冬のこと。
お正月用に、カズノコを買おうと思ったんです。
(前にも、メルマガでこの話をしたこと、あったかもしれないけれど)
スーパーで、ちょっと良いレベル(中の上くらい)のカズノコを買って、
お正月用の楽しみにしようと思ったんですな。
で。
食べてみたら。
(゜△ ゜)オエエェェェェェエェェェェエエェエップゥ!
薬クセェ! ナンだこりゃ。とてもじゃないけれど、飲み込めない。
毒インゲンを食べた人も、こんな感じだったのだろうか。
なんか薬品の味がして、いつまでも舌に残っている感じがします。オエェ。
これは明らかにおかしいだろうと思ったので、
買ったスーパーに連絡したんですな。これこれこういう事がありました、と。
で。スーパーの方も丁寧に対応してくれまして、
売り場の商品を確認してくれたんですな。
そしたら、別になんてことないし、他に同様の苦情も来ていないとのこと。
「お望みでしたら返金しますが」なんてマジ丁寧に対応してくれたのですが、
ここで返金受けちゃうと、絶対自分が頭おかしいクレーマーみたいに
なっちゃうかなと思ったので、そこはお断りしたんですが。
ま、そういうことがあったんですよ。去年の冬に。
(ちなみにカズノコは庭に捨てた)
その事件(個人的な事件)の原因が、
きょうご紹介する『ヤマザキパンはなぜカビないか』の中で説明されています。
タイトルは『ヤマザキパンはなぜカビないか』になっていますが、
要は、添加物に関する本。その一例として、ヤマザキパンが挙げられているだけ。
ヤマザキパン以外にも、いろんな事例が紹介されているんですが、
その一つが、僕も経験した「カズノコ」の話です。ご紹介しましょう。
『カズノコはなぜ「黄金色」をしているのか』
カズノコって、きれいですよね。ピカピカの、透き通るような黄色をしています。
でも、もともとこんな色をしては、いないんです。
カズノコの原材料は、スケソウダラの卵。
これは本来、薄茶色をしていて、血もついていたりして、
そんなにキレイなものじゃありません。
じゃあ漂白剤でも使っているのか? と思って、裏のラベルを見てみても、
「原材料 魚卵」とあるだけで、どこにも添加物は書いていないんです。
(実際、僕が買ったカズノコも、そうでした)
しかし、実際には添加物は使われています。
表記はされていませんが、使われているんです。
そこには、こんなカラクリがあります。
カズノコの漂白に使われるのは、過酸化水素水。
小学校の理科の実験で使いましたよね。酸素を発生させる実験です。
身近なところでいえば、消毒薬の「オキシドール」。あれが過酸化水素水。
オキシドールを使って、カズノコをきれいな黄色にしているんです。
時はさかのぼり、1980年。
当時、カズノコやカマボコや、ゆで麺などの漂白に、
過酸化水素水が使われていました。
ところが生物実験で、過酸化水素水には、発がん性があることが判明。
時の厚生省は
「過酸化水素水に発がん性があることが分かったので、
食品に可能な限り使用しないように」という通達を行いました。
事実上の、使用禁止です。
困ったのは、食品業界。
使わないようにって言われたって、使わなきゃ白くならない。
白くならなきゃ、お客さんは買ってくれない。だから困った。
特に困ったのが、カズノコ業者でした。
カマボコやゆで麺などの漂白は、他の食品添加物で代用できたのですが、
カズノコだけは、過酸化水素水に代わる添加物が、見つからなかった。
過酸化水素水がない限り、カズノコをきれいな黄色にはできません。
そこで、カズノコ業界の人たちは一生懸命研究して、
漂白に使った過酸化水素水が分解されるという酵素「カタラーゼ」
という物質を開発。
過酸化水素水は使うけれど、その後の処理で、
残留させないから、大丈夫だ! という話です。
厚生省はこれを許可し、カズノコの漂白には、
引き続き過酸化水素水を使うけれど、カタラーゼで分解するから
ダイジョブダヨ! イインダヨ! グリーンダヨ! ってことになったんです。
が。
この本の著者は「本当に分解されてんのかい?」と疑ったんですな。
自分の目で確かめなけりゃ、気が済まなかったのでしょう。
時はちょっと現代に近づき、1995年のこと。
著者の渡辺さんは、カズノコに関する独自の調査を行いました。
市販されているカズノコを買ってみて、本当に過酸化水素水が
残留していないか「日本食品分析センター」に調べてもらったんです。
対象商品は、以下の4種類。
・小田急百貨店(新宿)の「塩数の子」
・丸正食品(渋谷)の「味付け数の子」
・ヨークマート(港区)の「味付数の子」
・東武百貨店船橋店の「塩数の子」
結果。
このうち、下の2つ。
ヨークマートと、東武百貨店のカズノコから、0.2ppmの過酸化水素水が
検出されたそうです。これは食品衛生法に違反していることになり、
製品の回収ということにもつながりかねない事態でした。
で。
『ヤマザキパン〜』の著者、渡辺さんは、この結果を厚生省に
持って行ったんですな。過酸化水素水、残ってんじゃねぇか、って。
連絡を受けた厚生省は、あらためてカズノコ加工業者の検査を行いました。
厚生省が調べなおした結果は。
東武百貨店のカズノコは、きちんと規定の検査が行われており、
過酸化水素水が検出されたことはない、との話。
ヨークマートのほうは、そもそも過酸化水素水なんか使ってない、という話。
で、終わりになったわけです。
販売禁止や製品回収が行われることは、ありませんでした。
その後も渡辺さんは独自に聞き込みや調査を続けますが、
所詮、一消費者の力では限界があります。
個人がいくら「過酸化水素水を検出した!」といっても、
そんなのは信用されない、力を持たないのが世の常。
実際に食品分析をした「日本食品分析センター」の技術官の人は
「0.2ppm検出されるということは、90%以上の確率で
過酸化水素水が残留しているということだ」と、自信を持っていたそうですが。
厚生省が公的に行う検査では、検出されることは、ありません。
でも、1995年の話でしょう? 今はもっとマシになってるんじゃない?
と思いたいところですが。
著者の渡辺さんが、2007年の暮れ、
都内のある和食料理店で食事をしたところ。
出てきたカズノコを口にいれた瞬間、消毒薬の味がしたそうです。
あの、過酸化水素水(正確には、過酸化水素水であろうと、
渡辺さんが思っている)の味でした。
僕が泣く泣くカズノコを庭にばらまいたのと、同じ時期の話です。
たった1年前の話です。
食品添加物は、本当に体に悪いのか。
っていうか、そもそも残留しているのか。
ほとんどの人は、カズノコを食べても気にしないんだから、大丈夫じゃないのか。
という立場の人もいるでしょうが。
僕が体験したことは事実だと、断言できます。
(本の内容が真実だと保証することは出来ないけれど)
少なくとも、僕が1年前に買ったカズノコは、薬の味がしたし、
とても食べられるものじゃなかった。だから泣く泣く庭に捨てた。悲しかった。
これは、事実です。
『ヤマザキパンは〜』の中では、このカズノコの話と同じような、
いろんな事例が紹介されています。
章のタイトルだけ、ずらっと紹介しときましょうかね。
第1章「ヤマザキパンはなぜカビないか」
第2章「コンビニの弁当・惣菜・カット野菜はなぜ傷まないか」
第3章「回転寿司店のお寿司は安心して食べられるのか」
第4章「グレープフルーツ、レモン、オレンジはなぜカビないか」
第5章「カズノコはなぜ黄金色をしているのか」
第6章「ハム・ソーセージ、いくら・たらこはなぜ黒ずまないか」
第7章「はんぺん、ちくわ、漬物はなぜ腐らないのか」
第8章「生そば、生うどんはなぜあんなに日持ちするのか」
第9章「駅弁はあぶない添加物だらけ」
食べられるものが、また減りそうです。
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