文部科学省が先月30日に告示した高校無償化対象の外国人学校リストに朝鮮高校は含まれていなかった。
今年2月、中井洽拉致問題担当相が朝鮮高校を無償化対象から外すよう文科省側に求めたことが発端だが、鳩山由紀夫首相が「そういう方向性になりそうだと聞いている」と応じ、排除の流れができた。
この高校無償化。子ども手当同様、未来の担い手・子どもたちを社会ではぐくむことを目指した友愛の政策だ。当初は朝鮮高校の子どもたちも対象だった。
今回の事態に、阪神大震災を神戸の街で取材した時の朝鮮学校での炊き出しを思い出した。多くの日本人が助けられ、共生・友愛の思いを持ちあった。
北朝鮮による日本人拉致は許されざる犯罪行為だ。それを、日本で生まれ暮らす朝鮮高校生たちと関係づけていいものなのか。
今年は日本が朝鮮を植民地化した韓国併合から100年にあたる。歴史を振り返り、平和な未来のためにどんな判断をすべきか。排除ではなく友愛の心をもって考えたい。【湯谷茂樹】
毎日新聞 2010年5月8日 東京朝刊
5月8日 | 記者ノート:排除ではなく |
5月1日 | 記者ノート:実績主義に疑問 |
4月27日 | 記者ノート:問題の根源見直しを=黒田阿紗子 /新潟 |
4月24日 | 記者ノート:どうなる「採点」 |
4月20日 | 記者ノート:豪雪取材の苦い記憶=神田順二 /新潟 |