補修後3日目にダム決壊、工事費3000万円は何だった？―中国

　中国・湖南省〓州市安仁県にある中秋田ダムの一部が5日未明に決壊した。同ダムは土を積み上げるアースダムとよばれる古い方式のダムで、老朽化が指摘されたため、現地政府は2009年9月から補修工事に着手。工事が終了して3日目に決壊した。チャイナネットが報じた。（〓は「林」におおざと）

　ダム決壊を最初に見つけたのは管理所に務める李安国さんだった。現地では、4日に大雨が降った。補修工事が終わった直後だったが、夜になっても心配で眠れなかったという。5日午前0時10分ごろ、普段より大きな水音が聞こえだしたので点検にいったところ、ダムに亀裂が走り、20センチメートル程度の割れ目から水が噴き出していた。李さんは「これはまずいことになる」と感じ、管理所に駆けもどって、銅鑼（どら）を鳴らして付近の住民に危険を伝えた。また、県の防災指揮所に連絡し応援を依頼。また、下流の7村の幹部に連絡し、低地にいる住民を避難させるよう求めた。

　5日午後4時までに、ダムの決壊個所は幅が10メートル以上に広がり、一時は毎秒10トン程度の水が流れ出した。このため6．7ヘクタールの耕作地が水につかり、1ヘクタールが土砂に埋もれた。地元警察、消防、民兵
、一般住民ら200人以上が行った応急修理により、7日までにはとりあえず、危険な状態からは脱した。

　同ダムは1965年に建設された。貯水量は140万立方メートル。老朽化が指摘されたため、地元政府は225万元（約3040万円）を投じて09年9月に補修工事を開始。工事が完了し、作業員らが引き上げたのは5月2日だった。

　付近の住民の多きは、補強工事に問題があったことを疑っている。県政府の責任者は、「今、大切なことは、問題点を徹底的に洗い出すことだ。ダムに危険がないと確信できるようになった後、（補修工事についての）調査を行う」と説明した。（編集担当：如月隼人）

【関連記事・情報】
・ 発電所が完成と同時に廃棄、「おから工程」ずるずると （2008/09/02）
・ 建物倒壊、10人死亡−安徽省の農村で違法な建築作業中 （2010/05/01）
・ 中国の建築物「平均寿命」は30年、毎年数億トンが「ごみ化」 （2010/04/06）
・ 中国高官発言「建物倒壊なくなった」とうらはら…貴州で倒壊7人死 （2010/03/15）
・ マンション“転倒”事件の裁判、被告側「雷が原因かも」…上海 （2010/02/03）