(cache) 鳩山首相「県内」を表明　辺野古沖くい打ち案軸 - 琉球新報

普天間飛行場移設問題

鳩山首相「県内」を表明　辺野古沖くい打ち案軸2010年5月5日

仲井真弘多知事（右）と会談する鳩山首相＝４日午前、県庁（代表撮影）
県内移設に反対する市民がガラス越しに見守る中、会談する鳩山首相（右から２人目）と稲嶺市長（左から３人目）＝４日午後５時３４分ごろ、名護市民会館（田盛良一撮影）

　鳩山由紀夫首相は４日、就任後初めて来県し、普天間飛行場返還・移設問題をめぐり仲井真弘多知事や稲嶺進名護市長らと相次いで会談した。首相は稲嶺市長との会談で「県外を模索してきたが、あまり遠い所に移設地を求めることができない。辺野古の海を汚さない形での決着がないか模索するのも非常に重要」と述べ、名護市辺野古沖にくい打ち桟橋（ＱＩＰ）方式を軸とする代替施設を造る案を事実上提示した。稲嶺市長は「到底受け入れられない」と拒否した。仲井真知事は県外移設実現を追求するよう求めた。
　首相は同時に、鹿児島県・徳之島への機能移転を目指し、地元に要請する意向も示した。
　首相は４日、仲井真知事や高嶺善伸県議会議長、県内の基地所在市町村長らと会談。知事との会談で「抑止力の観点から不可能だ」として国外移設を否定し、「すべてを県外でということは現実問題としては難しい」と述べ、全面的な県外移設を断念し、県内移設への理解を求めた。移設先選定をめぐる迷走を念頭に「沖縄の人々におわびしたい」と陳謝した。
　高嶺議長には、埋め立てを極力抑える方向で米側と交渉する考えを表明した。
　県外移設が難しい理由として「アジアの情勢を見たとき、日米同盟を維持していく中での抑止力の観点から沖縄の皆さんや沖縄周辺の皆さんに負担をお願いせざるを得ない状況になっている」と強調。また海兵隊の陸上部隊とヘリ部隊の共同訓練に支障が出ることを挙げた。その上で沖縄全体としての負担軽減を図りたいとの考えを示した。
　仲井真知事は首相との会談後、「かなり県民の思いとずれがある」と不満を示し「（首相が）県外と言ってこられた点について、５月末までまだ時間があり、もっと検討してもらいたい」と述べた。首相の説明について「打診されたとは思っていない」と述べた。
　稲嶺市長は会談で「小さな島にこれ以上、新たな基地ができるというのは限度を超えている。沖縄に対する差別でもある」と訴えた。
　一方、政府は４日、日米の実務者協議を防衛省で開き、調整を本格化させた。しかし米側が日本側の提案を受け入れる保証はなく、協議の難航が予想される。

＜首相沖縄訪問ドキュメント＞
　４日９時ごろ　県内移設反対を訴える住民が県庁前広場に続々結集
　９・０４　首相が那覇空港到着。沖縄県庁前では「県内移設反対」と市民団体が集会
　９・４５　県庁前で首相に対しシュプレヒコール開始
　９・４７　首相が糸満市の平和祈念公園訪問。沖縄戦の戦没者に献花
１０・１５　県庁入り口前の沿道を横断幕を持った集会参加者が埋め尽くす
１０・４０　首相が県庁に。入り口周辺に約５００人が抗議に集結
１１・０８　首相、仲井真弘多知事と会談。「県外移設を求める声が高まっている」と知事。「日米同盟や抑止力の観点から難しい。沖縄にも負担をお願いしなければならないという思い」と首相
１１・３１　会談終了。知事は「県民の思いとずれがある。公約に従って検討してほしい」と記者団に
１１・３７　高嶺善伸県議会議長らと会談。首相は徳之島案について「率直に負担の協力をお願いできないかという思いがある」
１２・０３　首相が県外移設を断念する意向を示したことが集会参加者に伝えられる
１２・０８　県議会棟を出る首相に大きなシュプレヒコールが起こる
１２・４０　首相と基地所在市町村首長がホテルで約１時間昼食、懇談。終了後、翁長雄志那覇市長は首相発言に「力が抜けた」
１４・１３　首相が宜野湾市の米軍普天間飛行場を普天間第二小学校から視察
１４・２８　同校体育館で首相と住民約１００人が対話。首相は「前政権よりもっと（沖縄の）負担を軽減させなければならない」
１４・３０　対話集会に入れなかった人たちが首相にシュプレヒコールを上げる
１５・４０　対話集会終了。席を立つ首相に「恥を知れ」「基地はいらない」の怒号
１６・３０　名護市民会館に移設反対の住民が集まり始める
１６・３４　首相、名護市の米軍キャンプ・シュワブ視察
１７・０５　稲嶺進名護市長が名護市民会館入り。会館前の市民集会で「心一つにして県内反対を訴えよう」とあいさつ
１７・３０　稲嶺進名護市長と会談。市長は「到底受け入れられない」と移設反対を表明
１９・２５　首相、那覇空港到着。民主党県連代表らと空港内で会談。
２０・１０　那覇空港を出発
２２・２５　羽田空港着