DOL特別レポート
【第47回】 2010年5月7日
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元CIA顧問の大物政治学者が緊急提言
「米軍に普天間基地の代替施設は必要ない!
日本は結束して無条件の閉鎖を求めよ」
独占インタビュー チャルマーズ・ジョンソン 日本政策研究所(JPRI)所長

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フランスならば
暴動が起きている

―岡田外相は嘉手納統合案を提案したが、米国側は軍事運用上の問題を理由に拒否した。

 米軍制服組のトップは当然そう答えるだろう。しかし、普天間基地が長い間存在している最大の理由は米軍の内輪の事情、つまり普天間の海兵隊航空団と嘉手納の空軍航空団の縄張り争いだ。すべては米国の膨大な防衛予算を正当化し、軍需産業に利益をもたらすためなのだ。

 米軍基地は世界中に存在するが、こういう状況を容認しているのは日本だけであろう。もし他国で、たとえばフランスなどで米国が同じことをしたら、暴動が起こるだろう。日本は常に受身的で日米間に波風を立てることを恐れ、基地問題でも積極的に発言しようとしない。民主党政権下で、米国に対して強く言えるようになることを期待する。

―海外の米軍基地は縮小されているのか。

 残念ながら、その動きはない。米国は世界800カ所に軍事基地を持つが、こんなに必要ない。世界のパワーバランス(勢力均衡)を維持するためなら、せいぜい35~40の基地で十分だ。米国政府は巨額の財政赤字を抱え、世界中に不必要な軍事基地を維持する余裕はないはずだ。

―日本では中国や北朝鮮の脅威が高まっているが。

 日本にはすでに十分すぎる米軍基地があり、他国から攻撃を受ける恐れはない。もし中国が日本を攻撃すれば、それは中国にこれ以上ない悲劇的結果をもたらすだろう。中国に関するあらゆる情報を分析すれば、中国は自ら戦争を起こす意思はないことがわかる。中国の脅威などは存在しない。それは国防総省や軍関係者などが年間1兆ドル以上の安全保障関連予算を正当化するために作り出したプロパガンダである。過去60年間をみても、中国の脅威などは現実に存在しなかった。

 北朝鮮は攻撃の意思はあるかもしれないが、それは「自殺行為」になることもわかっていると思うので、懸念の必要はない。確かに北朝鮮の戦闘的で挑発的な行動がよく報道されるが、これはメディアが冷戦時代の古い発想から抜け出せずにうまく利用されている側面もある。

―米軍再編計画では普天間の辺野古移設と海兵隊のグアム移転がセットになっているが、辺野古に移設しない場合、グアム移転はどうなるのか?

 米国政府はグアム住民の生活や環境などへの影響を十分に調査せず、海兵隊の移転計画を発表した。そのため、グアムの住民はいま暴動を起こしかねないぐらい怒っている。グアムには8千人の海兵隊とその家族を受け入れる能力はなく、最初から実行可能な計画ではなかったのだ。

―それでは米国政府が「普天間を移設できなければ議会が海兵隊のグアム移転の予算を執行できない」と強く迫っていたのは何だったのか。

 自らの目的を遂げるために相手国に強く迫ったり、脅したりするのは米国の常套手段である。

―海兵隊をグアムに移転できない場合、米国政府はどうするか。

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