宮崎県で発生した口蹄疫(こうていえき)の感染拡大の防止に使う消毒薬が九州各県で不足している。大分県は消毒薬1トンを購入しようとしたが、宮崎、鹿児島、熊本も必要としているため品切れとなり、250キロしか確保できていない。専門家は、発生に備えて普段から十分な消毒薬の備蓄をする必要があると指摘している。
口蹄疫のウイルスは酸やアルカリに弱く、消毒には塩素系の消毒薬や炭酸ソーダ、消石灰などが用いられている。
大分県によると、発注した消毒液はヨーロッパからの輸入品のためすぐには手に入らない。その上、輸入会社が家畜の数で優先順位を割り当てているため、宮崎、鹿児島、熊本が優先され、その次の順になっているという。
大分県は現在、県内2430戸の畜産農家に20キロ入りの消石灰1万8400袋を配布し、散布して消毒を徹底するように指示。県家畜衛生飼料室は「消毒液は希釈するので、ある程度は使用できるが、急いで確保したい」と話している。
熊本県も消毒薬2.5トンを確保しようとしたが、品切れで入荷のメドも立たなかったため、急きょ別の消毒薬を手配した。5月中には十分な量を確保することができる見込みという。鹿児島県は炭酸ソーダや消石灰を使って消毒しているが、必要量の半分も確保できていない。
末吉益雄・宮崎大農学部准教授(動物保健衛生学)によると、消石灰は口蹄疫のウイルスに効果があり、環境に負担が少なく、汚染地帯が見た目にもわかりやすいなどという利点がある。しかし長靴や輸送車両のタイヤの消毒などに液状の消毒薬が必要で、末吉准教授は「隣県は十分な量を保有しておく必要がある」と話している。