ソマリア沖の海賊問題を受け、紅海沿岸のジブチ共和国で、日本の海上自衛隊基地建設が近日中に着工される。日本国外に建設される初の日本の、また史上初のアフリカ大陸の日本基地となる。
北川敬三海上自衛官は現地で、今年の初夏には基地建設が開始し、その約半年後に終了すると述べた。APF通信が伝えた。日本にとって、このような海上自衛隊基地建設は前代未聞。日本は第二次世界大戦後に憲法を採択してから、国際問題解決の手段として武力を行使することを永遠に放棄すると宣言している。これに関連して2009年、日本政府は、日本の駆逐艦2隻をソマリア沖での海賊対策に参加させるため、新たな法律を採択した。その後1年が経過したが、その間ソマリア沖での事態は悪化する一方だ。日本の船舶の所有者は警鐘を鳴らしている。日本は危険地域からほぼすべての原油を入手しており、日本向け輸出に最重要な航路のひとつがこの地域を通っているため、航路の変更は不可能である。結論として、日本は自国の船舶を護衛するため、第二次世界大戦後初の海外での海上自衛隊基地を創設するという、少し前には考えもつかなかった行動に出る用意を進めている。問題となっているのは日本の軍事ドクトリン全体の見直しだが、なぜソマリア沖の海賊が、日本という遠い国の法律を変えてしまうほど影響力をもつのだろうか。
モスクワ東洋学研究基金のセルゲイ・ルジャニン教授は、海賊による脅威は実際に深刻なものだが、実際より誇張として、次のように語った―
「肝心なのは、西側主要先進国が当初、報道も軍の諜報機関も、海賊行為とは、貧困にあえぐ人々が生活の糧を手にするため犯罪に及んだものだとする、間違った解釈をしていたことにある。しかし実際はそうではない。この海賊行為が、自前の教育・訓練養成システム、諜報機関や最新の通信機器、巨大な資本を有した、強力な国際機構であることに、いまや疑いの余地はない。またこの国際機構は、過去にいずれかの国で諜報機関に関係していた専門家を利用していると考えるに十分な根拠がある。これは新たな形の国際テロリズムであり、政治に大きな影響を与える。また海賊の正体を正しく評価できないこと等により、戦いは非常に困難なものとなる」
実際、この西側諸国の基地が密集する地域の目と鼻の先で、いかにしてソマリア沖の海賊がすばやく略奪を成功させているのか、理解に苦しむところだ。ジブチには最大規模のフランス在外海軍基地があり、また2003年にはそれを上回る規模のアメリカ海軍基地が建設された。日本はこの地で第3の海上自衛隊基地を建設することになる。すでに明らかなように、この地のアメリカやフランスの基地には海賊への抑止力はない。アメリカやNATO軍のなしえなかったことに日本が成功し、この地域の海賊行為に決定的な打撃を与えることができればいいが、その望みは薄いだろう。実際のところ、西側諸国の基地や強力な装備にもかかわらず、海賊は常に活動を続けている。今のところ、海賊らは一歩先を行っている。そしてこの問題は、この海域全体が西側列強のまさに軍事的利益ゾーンと今にも宣言されるような規模に発展しそうな雰囲気だ。
ちなみにこの地域の歴史には、そうしたことがかつてあった。面白いことに当時も、まさに海賊対策がその口実とされたのである。