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段差舗装 賛否二分

2010年05月07日

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多くの自転車が段差の脇を通り、すでに芝がはげている。奥では少年野球のチームが練習している=調布市の多摩川河川敷

◆「多摩川サイクリングロード」に調布市設置

 多摩川沿いの河川敷を通る通称「多摩川サイクリングロード(多摩サイ)」で調布市が新たに設けた段差舗装が議論になっている。歩行者との接触事故が絶えないため、自転車の速度を抑制しようと3月下旬に設置された。歓迎の声が上がる一方、自転車愛好家らは反発。調布市も「本来はマナーの問題だが、何もしないわけにはいかない。苦肉の策」と強調する。
(杉浦幹治)

 4月下旬、借りた自転車にまたがり、現場に行ってみた。高さ2センチ、幅10センチの段差舗装が2メートルおきに連続5段あった。実際に自転車で乗り越えると、前カゴに入れたカメラバッグが飛び出そうになる。ただゆっくりこぐと衝撃は小さい。こうした段差は、調布市多摩川4〜7丁目の約1キロに8カ所設けられた。費用は180万円という。

 多摩サイは、大田区から羽村市あたりまでの多摩川沿いの道。自動車が入らず、眺めもいいため、都内外から利用者が集まる。特に土日は、自転車やランナーのほか、散歩の高齢者やピクニックの親子などでにぎわう。

 競技用の自転車が走ることも珍しくない。散歩していた男性(84)は「数年前は速い自転車はたまにしか見なかった。最近は時速40キロぐらいのスピードで歩行者の間を縫うように走っていく」と話す。

 段差舗装は、昨年6月に多摩サイの府中市側で起きた死亡事故がきっかけだった。自転車が歩行者にぶつかり、歩行者が亡くなった。府中市は自転車の速度抑制のため、高さ数ミリの段差舗装をしていたが、それでも事故は起きた。

 調布市道路管理課によると、07年1月から09年3月までに市内の多摩サイで起きた事故は19件にとどまるものの、「これは氷山の一角。『危ない』などの苦情も月数件ある」という。調布警察署とも相談し、「他に例を聞かない」という高さ2センチの段差を付けることにした。

 世田谷区で自転車用の服の企画を行っている藤原敏洋さん(29)は段差に批判的だ。「パンクや転倒を起こしかねない高さ。逆に危なくなった」と訴える。藤原さんは月に1回程度、多摩サイに通っているが、「車いすやベビーカーも通るのに、その人たちも締め出す措置だ」と怒る。

 一方で歓迎する声もある。近くで自転車屋を営む石坂正一さん(63)は「我が物顔で飛ばし、歩行者に『どけ』と怒鳴る。怒って画びょうをまいた人もいた。段差はやむを得ない」。

 河川敷のグラウンドで少年野球の指導をしていた男性(45)は「河川敷のグラウンドには子どもも大勢来る。自転車には注意させているが心配だ」と話す。その上で、今回の措置に対しては「実際には、自転車は段差の脇を通っていくので効果が薄いように見える。うまくすみ分けられないだろうか」と疑問を投げかける。

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