宮崎県で家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)が発生した問題は、7日に川南町の8施設で新たに感染例が見つかるなど、感染ルートが分からないまま被害が拡大している。平野博文官房長官は7日の閣議後会見で、感染拡大を防ぐため新たな対策を含め検討するよう関係閣僚に指示したことを明らかにしたが、地元が期待する感染源や感染ルートの特定は難航しそうだ。
農水省によると、4月20日の初確認から5月7日まで、口蹄疫に感染か疑似感染した牛や豚は43施設で見つかり、計5万9104頭が処分対象になった。
農水省は、4月に牛から採取した分離ウイルスを英国家畜衛生研究所などで分析した結果、香港で2月に、韓国で4月に、それぞれ確認された口蹄疫ウイルスと遺伝子配列が似ていることが分かったと発表。動物衛生課は「ウイルスが韓国から持ち込まれた可能性もある」として、宮崎県で感染経路を究明している疫学調査チームの報告を待つ構えだ。
一方、感染源や感染経路については「可能性は指摘できても特定するのは困難」との声が強い。2000年に宮崎県と北海道で口蹄疫が発生した際も、中国産の麦わらによる感染が指摘されたが、感染ルートは特定できなかったからだ。同課は「可能性だけでも分かれば、対策は取れる」と被害拡大の防止策を探る。
全国有数の畜産県での「非常事態」に政府も懸命。平野官房長官は7日の会見で、防疫措置の徹底、農家の経営維持・再建対策、自治体の財政支援策に重点的に取り組む考えを強調し「大事なのは感染を拡大させないこと。踏み込んだ対策が必要かも検討させている」と述べた。
=2010/05/08付 西日本新聞朝刊=