【ワシントン=伊藤宏】米議会は8日、2010会計年度の国防予算で、在日米軍再編計画に伴う沖縄の海兵隊のグアム移転費用について、オバマ政権の要求をほぼ認める形で、約3億ドル(約264億円)を計上することで合意した。法案は18日までに上下両院で可決され、成立する見通しだ。
グアム移転費用をめぐっては、米軍普天間飛行場の移設問題を協議する日米の閣僚級作業部会で、米側が「普天間の不安定な状況が続けば、米議会の反応が変わる可能性も否定できない」などと指摘していた。議会側は、今回は普天間問題を具体的な予算措置には反映させなかった、としている。
ただ、来年2月から始まる2011会計年度の予算審議では、普天間問題の影響が検討される可能性がある。今回の審議にかかわった議会関係者は「もし日本政府が現行の合意を支持しないなら、グアムの移転計画は今後、不確かなものになるだろう」と話した。
今回のグアム移転費用で、オバマ政権は約3億7800万ドル(約332億円)を要求。下院はこのうち約3億1300万ドル(約275億円)を認めたが、上院は長期計画の不備などを理由に約1億4200万ドル(約125億円)しか計上しなかった。
上院の判断に対し、ホワイトハウスは「日米合意に悪影響を与える」として反対を表明。上下両院協議会で法案のとりまとめが進められ、最終的に上院が下院に歩み寄る結果となった。