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【静かな有事】第4部(5) 危機感の共有こそ解決の近道 (1/3ページ)
少子高齢化がもたらす危機に対して日本人はあまりに鈍感だ。伸び続ける社会保障費、減る労働力人口。日本社会はすでに崩壊の道を歩み始めている。
「こどもの日」に合わせて総務省が発表した子供の推計人口は、比較可能な昭和25年以降で最低の1694万人。29年連続で減少した。なぜ、こんな低水準に陥るまで“放置”され続けてきたのだろうか。
この危機は、戦争や自然災害のようにはっきりした形で見えるわけではない。自分にどう関係するのかイメージしづらい。「危機」であるとの認識がなかなか広がらない。
言うまでもなく、妊娠や出産は極めてプライベートな問題である。強制されたり、国家や社会を支えるために産むわけではない。だが、それは同時に、少子化の危機を口にすることをはばからせる雰囲気をも醸し出してきた。
子供が生まれてこなければ国家は滅ぶ。三菱総合研究所の小宮山宏理事長は「子供をつくらないというのは嫌な社会だ。子供を産みたくなる社会でなくてどうするのかということだ」と問いかける。
「日本は『少子化は国家の危機』という認識がまだまだ深いところで共有されていない。少子化をターニングポイントにしてきた国の歴史を振り返ると、日本は議論が足りない」。北海道大の宮本太郎教授は、こう警鐘を鳴らす。
多くの国民が危機感を共有するには、どうすればよいのだろうか。慶応大の駒村康平教授は、危機の「見える化」に解決策を見いだす。「少子化が自分たちに何をもたらすかを高齢者らは知らない。年金は下がり、介護保険料などは上がっていく。全部子供の数と連動して決まる。政治家はオブラートにつつんだ説明をするのではなく、『子供数連動年金だ』と言ったほうが分かりやすい」