きょうのコラム「時鐘」 2010年5月8日

 タケノコ掘りがたけなわである。ことしは、たっぷり収穫が見込めるオモテの年。雨後のタケノコのように、新党も当たり年である

タケノコ掘りは難しい。知人にいわせると、見つけるのがひと苦労。地面をわずかに持ち上げているのがおいしい。素人が飛び付くほど頭を出してしまったものは、もう「化けて」しまっている。テレビの貸座敷をはしごするような目立つタケノコは、見向きもされない。雨後の新党のことではなく、北陸のおいしいタケノコの話である

「半時探し、半時掘る」という。掘り出すのも大変である。複雑に入り組む地下茎を切り続ける忍耐強い作業である。新鮮な美味は、簡単には手に入らない

何よりも、掘る以前の竹林の手入れが大切である。伸び放題の竹が乱雑に育つ所では、栄養が吸い取られてしまう。荒れた土地では、とても食えないタケノコしか育たない

だから手入れを怠るな、と何度言ったことか。それでも聞く耳を持たず、ややこしいカネが染みたままである。5月のタケノコのことではなく、雨後の新党が出てきた政治という土壌のことである。