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<違法献金事件>「訴因変更」で立ち往生 大久保元秘書公判

5月7日15時0分配信 毎日新聞

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」を巡る事件で政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元公設第1秘書、大久保隆規被告(48)の公判が4カ月近く再開されず「立ち往生」している。大久保被告は先に西松建設の違法献金事件で起訴され公判中で、検察側はその起訴内容に陸山会事件を加えるよう「訴因変更」を求めたが、弁護側の異議申し立てを受けた東京地裁が許可を見合わせているためだ。異議申し立ての根拠は、皮肉にも迅速な裁判のため導入された「公判前整理手続き」。法律のプロ同士による水面下の攻防が続く。【伊藤直孝】

 大久保被告は、陸山会事件に先立つ昨年3月、西松建設を巡る違法献金事件で逮捕・起訴された。起訴内容は03〜06年、同社からの献金をダミーの政治団体からと偽って陸山会の政治資金収支報告書に記載した政治資金規正法違反。この事件では、検察側と弁護側が事前に争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きを9回重ねて昨年12月18日に初公判、今年1月13日に第2回公判が開かれ、当時は今春にも判決が言い渡されると見込まれていた。

 ところが特捜部は1月16日、陸山会の07年分の収支報告書の支出を4億円過少記載したとして大久保被告を再逮捕。04、05年分の別の虚偽記載も含めて立件し、2月4日に東京地裁に両年分の訴因変更(07年分のみ追起訴)を請求した。訴因変更請求があった場合、裁判所はすぐに許可するケースが多い。だが、東京地裁は今も訴因変更を認めていない。

 ネックとみられるのが公判前整理手続き。ある業務上過失致死事件の判決で東京高裁は08年11月、「公判前整理手続き後は、争点整理と審理計画が策定された趣旨を無視した訴因変更は許されない」との判断を示した。この高裁判例を念頭に、大久保被告の弁護側は「公判前整理手続きで争点を絞り込んだのに、検察はだまし討ちのように訴因変更請求をした」と主張しているとみられる。

 これに対し、検察側は「やむを得ない措置」と反論。検察側、弁護側双方とも一歩も引く構えを見せていないという。

 「公判が長引き迷惑をかける」。大久保被告は3月30日付で公設秘書と小沢氏の事務所を辞職した際、周囲にそう説明したという。

 【ことば】訴因変更

 起訴状に記載された犯罪の具体的内容(訴因)を変更する手続き。事実関係が大きく変わらない範囲で、適用罪名や記載内容を修正する場合に検察官が請求する。裁判所が検察官に変更を命じることもある。起訴内容と全く別の内容を追加する場合は同じ罪名でも訴因変更はできず、追起訴が必要になる。政治資金収支報告書の虚偽記載罪は、虚偽の内容が含まれる報告書を提出することで成立するため、検察側は同一の報告書の別の虚偽記載を立件した場合には追起訴することができず、訴因変更することにした。

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最終更新:5月7日15時1分

毎日新聞

 

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