改正刑事訴訟法が成立、即日施行された27日、「殺人事件被害者遺族の会」=宙(そら)の会=の8人が記者会見を開いた。遺族らは「(被害者の)無念が晴らせた」と涙を見せながら喜びを語り、「何より世論の力が大きかった」と感謝の言葉を繰り返した。
00年に起きた東京都世田谷区一家4人殺害事件で妹らを失った入江杏さん(52)は「思いの外、早かった。事件から10年。決して平たんな道のりではなかった。社会的セーフティーネットを強くする活動を続けたい」と落ち着いた表情で話した。
96年に次女を殺害された代表幹事の小林賢二さん(63)は、他の遺族が話す間も度々ハンカチで目元を押さえた。「娘にはお父さん頑張っただろと語りかけたい」と語った。
「全国犯罪被害者の会」(あすの会)のメンバーも会見。妻を事件で失った代表幹事の岡村勲弁護士は「私たちの活動は、時がたてば犯罪が犯罪でなくなるという不合理に対する憤りからスタートした。被害者の悲しみは薄れるというのは幸せな人のおっしゃることだ」と意義を強調した。
また、95年に起きた東京都八王子市スーパー強盗殺人事件で亡くなった桜美林高校2年、矢吹恵さん(当時17歳)の両親は「これで永遠に犯人を追いつめることができるので、遺族として安堵(あんど)しています。犯人は逮捕されるか自首しない限り、普通の生活は送れないのだから早く自首して罪を償ってほしい」などとコメントを出した。【市川明代】
毎日新聞 2010年4月27日 21時28分(最終更新 4月27日 22時21分)