衆院本会議で成立した殺人など12罪の公訴時効廃止を柱とする改正刑事訴訟法は、27日の持ち回り閣議で公布が決まり、即日施行された。28日午前0時に時効成立を控える事件を対象にするため、法務省は即日施行という異例の手続きを政府内で働きかけていた。
改正法施行により、95年4月28日以降に発生した殺人などの時効が廃止され、警察の捜査が継続される。傷害致死など人を死亡させたその他の罪は、時効期間が従来の2倍に延長される。
岡山県倉敷市で95年4月28日に起きた夫婦放火殺人事件も時効廃止対象となる。この事件の時効は28日午前0時だったが、即日施行で改正法成立から施行のはざまで時効を迎える事態は回避された。
千葉景子法相は成立後の記者会見で「(時効見直しを)待っている皆さんの期待に何とか応えられるのではないか。被害者への施策が十分でないのが心痛く、政府全体でのサポートを考えなければいけない」と述べた。【石川淳一】
刑 法
殺人▽強盗殺人・強盗致死▽強盗強姦(ごうかん)致死▽汽車転覆等致死▽往来危険による汽車転覆等致死▽水道毒物等混入致死
特別法
決闘による人の殺害▽航空機強取等致死▽航行中の航空機の墜落等致死▽組織的な殺人▽人質殺害▽船舶強取・運航支配等致死
毎日新聞 2010年4月27日 20時14分(最終更新 4月28日 1時27分)