宮崎県で家畜伝染病の口蹄[こうてい]疫が多発している問題で、閉鎖中の球磨家畜市場(錦町)を除く熊本県内5カ所の家畜市場は6日、4月下旬に続いて5月の競り市も中止することを決めた。県畜産農業協同組合連合会(県畜連)の試算では、4月分を含め牛と豚の計8200頭、約18億円分の取引ができなくなる。
口蹄疫問題に伴い家畜市場の中止継続を決めた県畜連の会議=熊本市の県畜産農業協同組合連合会
各市場を開設するJAや畜協の担当者らが熊本市の県畜連で協議。口蹄疫が熊本県に隣接するえびの市でも2例発生していることから「感染防止を最優先する」(県畜連業務部)として中止継続を申し合わせた。
宮崎県の感染疑い例は5日現在で計23例。市場の再開時期は5月下旬に再度協議するが、出席者からは「宮崎県での10年前の発生と違い、今回は一向に終息の兆しが見えない」と焦りの声も出た。
畜産農家には経済的打撃への不安が高まっている。菊池市の子牛生産者(55)は「出荷できないと収入が途絶える上、えさ代も余分にかかる。適正な出荷時期を過ぎて値が落ちるのも心配。競りが再開しても感染が広がっている現状では、九州の市場全体が買い手から敬遠される」と話した。
九州農政局によると、九州では福岡県の1施設を除く6県計43カ所の家畜市場が開催を中止または延期している。(蔵原博康、田川里美)
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