6日のニューヨーク株式市場では午後の取引でダウ平均が突然暴落する異常な値動きになった。何らかの誤発注をきっかけに株価が急落。これを受けてコンピューターによる取引システムが自動の売り注文を出し、連鎖的に売りが膨らんだとの観測が出ている。米国の各証券取引所は株価が異常値になった取引の注文を取り消す方針だが、高度で複雑になった電子取引システムに課題を残した格好だ。
この日のダウ平均は午後2時30分前後に突如として暴落し、約20分の間に600ドル超下落。ダウ平均は一時前日比998ドル安と取引時間中として過去最大の下げを記録した。
日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)はこの間に約4割下げた。米メディアによると、50ドル台で推移していたボストン・ビール・カンパニー株は一時1ドル割れと、株価が「無価値」に接近した。
複数の銘柄を一度に売買する「バスケット取引」で、金融機関の証券トレーダーによる誤発注が発生。米メディアによると大手米銀シティグループのトレーダーがP&G株取引で「ミリオン」(100万)単位で注文を出すところを、誤って「ビリオン」(10億)と注文をした可能性があるが、同社は「確認できない」としている。
売りが市場全体に波及したのは、自動取引システムが一因とみられる。米国ではコンピューターが株価や売買高などの条件を計算して、自動で小口注文を出す「アルゴリズム取引」が幅広く利用されている。この取引では、市場の売買高が膨らんだ時にその分だけ注文を増やす傾向がある。
これによって「コンピューターを通じた売り注文が一気に膨らみ、下げを加速させた」(欧州系証券トレーダー)との見方は多い。株価に与える影響を抑えて注文を効率的に執行する取引システムとされてきたが、結果的に売りが売りを呼ぶ悪循環となり、株価の振れ幅を大きくした格好だ。
株価が極端な安値を付けた後に、今度は割安感から一般の投資家や自らの判断で売買する一部の証券トレーダーらの買い注文が殺到。ダウ平均は一気に切り返し、最安値からわずか10分程度で500ドル近く値を戻した。
ナスダック証券取引所を運営するナスダックOMXグループなど各取引所は、同日午後2時40分から午後3時までに価格が60%以上変動した取引を取り消すと発表した。
米国の証券取引所には、直近の約定した株価から次の取引で成立した株価が一定の水準まで乖離(かいり)した場合に、約定を取り消せる規定がある。
日本でも2005年12月に、ジェイコム株の誤発注事件が起きた。この時は東京証券取引所にまだそのような規定がなく、損失の負担を巡り誤発注を出したみずほ証券と東証との間で訴訟に発展した。
(ニューヨーク=川上穣)
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日経平均(円) | 10,364.59 | -331.10 | 7日 大引 |
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NYダウ(ドル) | 10,332.82 | -187.50 | 7日 10:47 |
英FTSE100 | 5,070.08 | -190.91 | 7日 15:47 |
ドル/円 | 91.08 - .10 | -2.51円高 | 7日 23:41 |
ユーロ/円 | 115.09 - .14 | -4.67円高 | 7日 23:41 |
長期金利(%) | 1.280 | +0.010 | 7日 17:56 |
NY原油(ドル) | 77.11 | -2.86 | 6日 終値 |
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