厳しい表情で練習を見つめるストイコビッチ監督(左後方)=愛知県豊田市のトヨタスポーツセンターで
|
 |
名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(45)が6日、90分間という異例のロングランミーティングを敢行した。1−2と逆転負けした5日の浦和戦(埼玉)の映像を見ながら、声を荒らげて細部にわたる指摘を繰り返し、本気で優勝を狙うため、チームに活を入れた。
「こんなプレーをしていて、チャンピオンになれるのか」−。ストイコビッチ監督の厳しい言葉の数々が、ミーティングルームから廊下をはさんだ記者室にまで響いてきた。5日の浦和戦の映像を見ながら進められたミーティングは、1試合分に相当する約90分間、続いた。ミーティングを終えたピクシー監督は、興奮が残る真っ赤な顔で部屋を後にした。
浦和戦では、1点を先制しながら、後半の最初の10分間で2失点し、今季初の逆転負けを喫した。ピクシー監督は、細かい指摘、怒りという形で、気持ちを示した。
選手たちはそれぞれに受け止めた。MF小川は、「リードしながら、自分たちのミスから逆転を許した。一番悪い形の負け方。仕掛けた結果でなく、不用意なパスなどミスの種類も悪かった」。DF千代反田は、「1失点目は、ボールに行ってしまったこと以上に、その前のポジショニングが悪かった」。DF阿部は、「2失点目は僕のミス。簡単にボールを出させてしまった」。映像を見直し、指摘を受けて気付いた修正点を確認した。
累積警告で出場停止だったDF闘莉王も、出場した選手以上に重みを感じていた。「出られなかった自分が悪い。出ていた選手は責められない。監督は間違ったことは何一つ言っていない」
開幕前から「優勝」の二文字を意図的に発しているピクシー監督。10試合を終えた段階で3位。悪くない位置に付けている。「優勝する戦力は整った」と確信するからこそ、あえてこの時期に、厳しく叱咤(しった)した。
グランパスは9日、仙台戦(ユアスタ)に臨む。小川は、「これだけ言われて発奮材料にしない選手はいない。もう1度、同じミスはしない」と表情を引き締めた。選手から出てきたのは、「ピッチで質の高さを証明する」という決意だった。 (伊東朋子)
この記事を印刷する