冷徹な悪役を得意とする個性派俳優として知られ、映画「白日夢」での“本番演技”が話題を呼んだ俳優、佐藤慶(さとう・けい、本名・慶之助=けいのすけ)さんが2日午後4時19分、東京・世田谷区内の病院で肺炎のため死去していたことが6日、分かった。81歳だった。3カ月ほど前に体調を崩し、入院していた。葬儀は5日に近親者のみで執り行い、喪主は長男の純(じゅん)さんが務めた。
映画「白日夢」で佐藤さんと共演した女優、愛染恭子は6日夜、サンケイスポーツの電話取材に応じ「まだ信じられません」と声を詰まらせ、「慶さん(との性行為)はよかった。(自分の映画の)撮影は全部が全部、本番ではないけれど、慶さんのときは本物の本番だった」と激白。約30年前の撮影について語る言葉に「俳優・佐藤慶」への尊敬の念、愛情があふれた。
当初非公開だった本番行為の撮影は突然、マスコミ公開に。「慶さんはすごく神経質で繊細な方。男のシンボルも勃たなくなって、撮影(再開)に3時間もかかった」と振り返った。当時、新人で緊張する愛染に佐藤さんは「緊張した時こそじっとしてろ」と声をかけたといい、「あの撮影は私の土台」と感謝の念をにじませた。
佐藤さんと最後に話したのは昨年9月。愛染が監督した「白日夢」のリメイク版の出演を依頼したが「具合が悪い」と断られたという。「こんなに悪いとは…。自分よりヒロインを輝かせることに徹し、脇役として自信と誇りを持った人。もう一度仕事したかった。今までありがとうと言いたい」と声をふるわせた。