等高線地図とカーナビ地図
「G-Navi」の等高線地図を道路地図に重ねて、まず驚くことは、日本は本当に等高線のない場所が少ない、平地がなく等高線だらけだということでしょう。逆に、我々が目にするすべての「カーナビ」地図は、いかに細工を凝らしても、日本の地形表現とは無縁で、平面的な道路のみの地図(白地に道路のみがある)であるかということを再認識することになります。登山ということだけでなく、本来の地図はやはり等高線地図なのではないでしょうか。昔、学校の地理の時間に学ぶ地図には、等高線のない道路地図はなかったはずですから、当たり前のことなのですが。その他に地理院地図には細かな植生や田畑の土地利用情報も表示されていますね。河岸段丘、扇状地、火山、山脈などもこの等高線地図、「地形図」が基本となっており、そのすべての大本が国土地理院測量部なのです。
ラスター地図vsベクトル地図
さて地図の形式にも、「ラスター地図」と「ベクトル地図」の二種類があるのをご存知でしょうか。国土地理院の「ウォッ地図」は「ラスター地図」で「電子国土」は「ベクトル地図」です。「カシミール」はラスター地図で「マップルデジタル」は「ベクトル地図」です。この両者の地図は拡大してみると明確です。ラスター地図はビットマップの画像ですので拡大すればするほど画像がボケてきます。ベクトル地図はいくら拡大しても画像がボケません。「G-Navi」に使われている地図は「ベクトル地図」です。ラスター地図であるカシミールを、SDに収めようとすると、2ギガに納まるのはせいぜい関東地方のみとなり、全国をカバーするには5枚以上を必要とします。これに対してベクトル地図は、全国が2ギガ一枚に納まります。
もうひとつの特徴は、ラスター地図は、道路や等高線などすべてが同じレイヤーになっているので、回転すると文字ごと回転してしまいます。初期のサーバー型ネット地図は皆このタイプで、スクロールや回転ができませんでした。この点ベクトル地図では、すべてのデータが別々に管理表示されますので、地図を回転しても文字は回転しません。
このことは当社が2年前に開始した「山と写真ガイド」でも同様で、ラスター地図とベクトル地図が混在している当時としては画期的でした。
同時に、カーナビでは「ヘッドアップ」が主流となったために、当初から「ベクトル地図」が基本となっていました。ヘッドアップの必要のないGPSでは、この機能は元々ありません。一部のネット地図でも未だに回転のできない「ラスター地図」を採用している地図会社もあります。
「iPhone」対「G-Navi」
「iPhone」で使うグーグル地図は、サーバー地図の代表格で、PC利用で慣れたそのままで地図が活用できるので非常に便利なものです。すべての地図データや情報はグーグルのサーバーに置かれており、サーバにアクセスできる限り、最新のデータを閲覧できます。 ただし、これはあくまで「通信圏内」のことであり、ただでさえインフラが弱体のソフトバンク網では、かなりの「圏外」が存在し、勿論「登山・山岳」では全くつかえません。これはソフトバンクに限らず他社の携帯電話においても同じことで、ドコモであろうとauであろうと同じことなのです。それゆえいまでも多くの方々が「携帯電話GPSは山では使い物にならない」と思い込んでおられるようです。
これに関しては、当社は「圏外」でも使えるGPSとして、米国クアルコム社にじか談判して、クアルコムのチップセットの仕様変更をしてもらい、auの携帯においては、たとえ「圏外」でもGPS測位ができるスタンドドアロンGPSを実現し、auで開始したのが「山と写真ガイド」です。当然「圏外」の山でもauの携帯だけは、GPS測位ができます。ただし、GPS測位ができても,地図がなければ話にならないので、国土地理院と協力して、ダウンロードできるベクトル地図を作成してもらい、それを現在の「山と写真ガイド」に使用しているのです。(実際には携帯用にアレンジしています)
「G-Navi」用等高線地図は、全国をカバーすることが目標でしたので、100枚程度しか用意できなかった地理院地図では役不足だったので、当社が最近米国から帰国したばかりの旧アップアップダウン製作所、現在株式会社ユーユーディの瀧本博士に、当社の技術を説明して、製作していただきました。結果として、全国のほぼすべてのエリアをカバーするベクトル等高線地図が完成したのです。それに検索手法などを工夫して使いやすい地図に仕上げました。(厳密には今後も改良は続けます)当社は「G-Navi」の端末メーカーであるとともに、ナビ、及び地図コンテンツの直接の制作会社です。単なる「代理店」とか「仲介業者」ではありありませんので、ハード/ソフト/アプリ/コンテンツのすべてを迅速に自社で修正、制作することが可能です。
「G-Navi」にはこうした等高線地図はSDとして追加使用できますので、SDさえあれば、日本全国の山すべてをカバーしています。「圏外」とか、対象外領域とかいうことはありません。