水道管 3万8000キロが耐用年数超え 更新進まず
5月7日0時44分配信 毎日新聞
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長崎県佐世保市の漏水事故現場。水路の下に敷設された水道管が破裂、上部の橋に水が噴き上げている=2009年11月29日撮影(同市提供) |
【治水をめぐって わかりやすく図解】ダム計画がゆらいでいる
「用水路から水が噴き上がっている」。昨年11月29日早朝、長崎県佐世保市の市水道局に住民から電話が入った。職員が駆けつけると、用水路の下に敷設された直径25センチの管(鋳鉄製)に約10センチの亀裂が見つかった。管は1968年の設置で、老朽化が原因と判明。周辺約1500世帯が約16時間にわたって断水した。
最近、老朽化が原因とみられる漏水事故が目立つ。厚生労働省によると、被害が100世帯を超えた大規模な漏水事故は埼玉県加須市や宮城県岩沼市など08年度までの3年間で少なくとも年14〜19件起きた。
上水道管は70年代に集中整備され、今後一斉に更新期を迎える。耐用年数を超えた管は07年度時点で既に全体の6%を超え、10年後に2割、20年後には4割を超える見通し。老朽化で家庭などに届くまでに管から漏れる水量は年間供給量の7%にあたる11億トンに上る。
水道事業は市町村などの事業者が住民からの使用料金で運営。しかし需要の伸びは期待できず、経営環境は厳しい。佐世保市も07年度から赤字に転落、今年度は使用料を約2割値上げした。
水道水に溶け出すと人体に影響を及ぼす恐れのある鉛製給水管(配水管から家庭などへの引き込み管)は全国515万軒で使われており、この交換費用も自治体によって負担を余儀なくされる場合がある。
災害時のライフライン確保の目的もあり、水道管の更新に関して厚労省は一定条件で費用の最大2分の1を補助。それでも、耐震化率は配水本管などの基幹管路で約3割、全体では約1割にとどまる。国の財政も逼迫(ひっぱく)しており、今年度の更新予算は前年並み(118億円)を維持するのが精いっぱいだった。
日本水道協会は「地方の首長の中には、有権者受けを狙って使用料の引き下げを訴える人もいる。事業効率化は大前提だが、住民も負担の在り方を真剣に考える必要がある」と訴えている。
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最終更新:5月7日2時44分
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