【佐藤慶さん死去】「白日夢」で共演の愛染恭子さん「お父さんのようでした」

　映画「白日夢」で共演した女優、愛染恭子さんの話

　「白日夢」で共演してから、時々手紙が来たり、電話で話したり。私の監督作品のナレーションをしてくださったり。そんな縁がずっと続いていました。

　実は、佐藤さんは私の父親と同じ年なので、お父さんのようだった。信頼していたし、落ち込んでいるときに互いに励ましあったり。勇気をくれる存在でした。

　「白日夢」では、私は新人のデビュー作だったのですが、いろいろなことを学ばせてくれました。自分よりもヒロインを目立たせることに徹し、脇役としてがんばる姿勢が記憶に残っています。脇役として自信と誇りを持っている俳優でした。

　ベテラン俳優なのに、事務所に所属せず、フリーでお仕事をされていた。そのせいか、「明日、１カ月後、仕事があるかどうか、心配なんだ」と手紙がきたり、電話がくることも。「佐藤さんなら大丈夫ですよ」と逆に励ましてあげることもありました。繊細な人だったと思います。

　ただ、この数年、ずっと「具合が悪い」と言っていたことが思いだされます。

　私が「白日夢」のリメイク版の監督をすることになり、一昨年の１２月に出演をお願いするため、電話したとき、「具合が悪いんだ」とおっしゃっていた。そのときは「そしたら、がんばってくださいね」と互いにいって電話を切りました。その後、他の作品に出演していることを知り、昨年９月に「佐藤さん、お元気じゃないですか」とまた電話をかけたら、そのときも「具合が悪いんだ」って言っていて。

　訃報をテレビのニュースで知りましたが、まだ信じられないし、実感がわきません。