篠山紀信の“やり方”はまずかった? AV屋が語る“屋外ヌード撮影道”サイゾー5月 4日(火) 23時32分配信 / 国内 - 社会今年1月、屋外で全裸の写真撮影をしたとして、写真家の篠山紀信と、モデルとなったAV女優・原紗央莉が、公然わいせつの罪で警視庁保安課に書類送検された。問題となったのは、昨年1月に朝日出版社から出版された『NO NUDE by KISHIN 1 20XX TOKYO』。都内の風景にヌードを組み合わせた写真集だ。 篠山氏の知名度ゆえ、この摘発劇は、当局の見せしめ的な意味があったという見方もある。過激化するAVなどの屋外撮影に、当局側が歯止めを利かせるためではないかというものだ。 さて、屋外でヌードといえば、AVである。日本のAVには、「露出モノ」と呼ばれるジャンルがある。モデルに露出度の高い格好で屋外を歩かせたり、性行為をさせたりして羞恥する姿を撮影するのが一般的な内容だ。もともとこれらの行為はSMプレイの一環であり、AV黎明期の1984年にリリースされた『SMを10倍楽しくする方法』(監督:中村幻児)に、すでに全裸での街頭散歩や電車内でのプレイが収録されている。 さらに 90年代に入ると、露出をメインにしたAVが多くリリースされるようになる。ブームが過熱するにつれ、露出行為もエスカレート。繁華街を全裸で歩く、地下鉄の車内で放尿する、回転寿司屋の店内でフェラチオする、電話ボックス内でセックスするなど、過激さを競うようになっていった。 つまり、篠山紀信の野外ヌードが可愛らしく思えるほど、AVではスキャンダラスな作品が数多く撮られているのだ。これらは、明らかに公然わいせつ罪に抵触する行為である。当然のごとく、逮捕される制作者も多い。 記憶に新しいところでは、08年に渋谷の路上でダンプカーの荷台で性行為を撮影したホットエンターテイメントの作品が問題となり、監督や女優などが逮捕。同年には、埼玉県東松山市内のマクドナルド店内で、大人のおもちゃを使って撮影していた監督と女優も逮捕されている。 では、こうしたAVは、今も増え続けているのだろうか? 「いえ、現在は取締が厳しく、屋外での撮影はほとんど不可能になっていますね。なにしろ、ナンパモノの撮影すら難しくなっているんですから」と語るのは、AVメーカー・SODクリエイトの宮門良輔監督。数々のナンパモノ・露出モノを手がけてきた、屋外撮影のプロである。 「ここ5年くらいで、かなり厳しくなってきています。特に、自治体が独自に制定する迷惑防止条例の影響は大きい。これで、繁華街の路上でAV出演の勧誘をすることがNGになっちゃったから、素人ナンパモノは事実上制作不可能になっています」(宮門氏) この条例は、制定している自治体によって内容が違い、しかも頻繁に変わるというから、AV制作者にとっては悩みの種だ。 「基本的には区とか市の単位で適用されるんですが、場所によってはもっと細かいんですよ。だから、ロケの時は必ず事前に調べていくんです。ウチはガチを撮りたいんで、僕のデスクには日本地図があって、撮影できるところとダメなところが完璧に塗り分けてあります(笑)」(同) この種の迷惑防止条例の施行ブーム後、ナンパAVの撮影は難しくなり、多くのメーカーは、AV女優に素人女性を演じさせる、いわゆる「仕込み」を行っているというのが現状のようだ。 ■逃走ルートも確保し万全の態勢で臨む撮影 そもそも露出AVの撮影自体が、明らかに公然わいせつ罪に抵触する行為だ。しかし、かつてのAV制作者たちは、それを承知で撮っていたという。 「昔の監督に話を聞くと、捕まれば話題になって名前が売れるという気持ちでやっていたそうです。まぁ、そういう業界だったんですね。」(宮門氏) というわけで、匿名を条件に、現在も露出モノやナンパモノの作品を撮っているAV関係者に、その撮影方法を聞いてみた。 「普通のAV撮影は、出演女優のスケジュールに合わせるんですけど、露出モノの場合は、ノウハウを持っているスタッフが揃わないと絶対に撮りませんね。ロケハンでは、逃走ルートや見張りの場所を調べておいて、きっちりフォーメーション組んでから撮影に挑みます。もし何かあった時のために、口裏も合わせておきます。だいたい『自主制作の映画を作ってる大学のサークルだ』って言うことが多いかな。とにかく、会社の名前は絶対に出しません」(AVメーカー関係者) ナンパモノを撮る時も、苦労は絶えない。 「撮影していると、いろいろと妨害してくる人がいるんですよ。そっち系の方々が『おれの縄張りで何してるんだ』って。だから、事前にそういった人に話を通しておくことも多いですね。特に難しいのは、夏のナンパモノを撮ることが多い、湘南なんかのビーチ。あそこは縄張り関係が複雑で。エリアごとに細かく違ってたりする。だから僕の携帯には、そういう方々の電話番号がたくさん入ってるんです(笑)」(同) ちなみに、一時流行した電車痴漢モノは最近はまず撮られていないという。 「昔は、走行中の電車内で、大勢のスタッフで囲んで撮影していたんだけど、鉄道会社からメーカーにクレームが来るようになって、できなくなりましたね。だから今は、貸切できるバスでの痴漢モノが増えていますね」(フリーのAV監督) 現在も、露出モノやナンパモノの人気は高い。しかし、それに応えるのは難しい状況だと、前出の宮門氏は言う。 「現行犯で捕まらないようにということならば、知恵の絞りがいがある。しかし最近は、商品になったものに対して摘発されるケースも増えている。撮影テープなどを見られたら、証拠がバッチリ残ってますから、言い逃れはできない。撮りようがないですよ」 こうした撮影が違法行為なのは事実。しかし、あまりに厳しすぎる規制は、AVが本来持つアナーキーな魅力を損なってしまうのではなかろうか? 昨今の迷惑防止条例の施行ブームについて、河合幹雄・桐蔭横浜大学法学部教授は、このように語る。 「条例制定の背景にあるのは、『市民の声』なんです。都市化が完了して地域共同体が消失し、『隣は何をする人ぞ?』という社会が一般的になった。結果日本人は、町中で不審なことが起こると、自ら解決に乗り出すのではなく、とにかくすぐに110番するようになったんです。こうした通報の増加が、警察による“迷惑行為”の検挙増加につながっており、その“実績”を根拠に、警察が行政に働きかけて条例制定を後押している部分がある」 AVの屋外撮影への締め付けは、社会が息苦しいものへと変わっていっていることの象徴なのかもしれない。しかし、しぶといのがAV業界。これからも、なんらかの方法を見つけては、ユーザーのニーズに応える作品を世に送り出してくれるのではなかろうか? (文/安田理央) 【関連記事】 ・ 篠山紀信、いまさら“公然わいせつ”で容疑者扱いのナゼ
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