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アメリカの元祖アイドルはフランク・シナトラ!?
――渡辺さんは、「この人が出ていたら絶対に見に行く」というような人って誰ですか?
渡辺 そりゃ、ブラッド・ピットが出ていれば見に行きますよ。昔はアラン・ドロンだったかな。映画は男の顔で見に行く私ですから(笑)。
宇田川 若くてきれいな異性の顔をスクリーンで浴びるように見るのが、映画の醍醐味でもありますよね。それは(映画の父)D.W.グリフィスも言ってましたよ。わかくてスウィートな女優のアップになった肌を観客は見たがるのだってね。
渡辺 アイドル映画なんてことばはなかったけど、昔、アラン・ドロンが出ていた『お嬢さん、お手やわらかに!』('58)というフランス映画があったでしょ。軽妙お洒落映画が得意だったミシェル・ボワロン監督作。ミレーヌ・ドモンジョら三人の女の子がアラン・ドロンを巡って取り合いをする話なんだけど、女の子みんな個性があって、ああいうアイドル映画があったらいいなと思う。
宇田川 三人娘っていいですよね。ぼく『お姐ちゃん』シリーズがまた見たいんですよね。この間、浅草東宝のオールナイトでやった団玲子の追悼上映で『大学のお姐ちゃん』('59)をうしろ半分だけ見たんですけど。すごくよかったなあ。
渡辺 私も『お姐ちゃん』シリーズは大好きよ。加山雄三の『若大将』シリーズも好きだけど、ふつうのアイドル映画はあまり興味がない。もちろんキレイな男の子が出ていれば申し分ないけど、やっぱり話がおもしろくないと。宇田川さんだって、イオセリアーニの映画にかわいい女の子が出てきたら最高でしょ?
宇田川 確かに。イオセリアーニの映画はおばあさんばかり印象に残るもんなぁ(笑)。
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『ノット・ア・ガール』
ブリトニー・スピアーズの映画初主演作。それぞれの思いを胸にLAを目指す少女たちのロードムービー。
発売:エイベックス
¥4800(税別) |
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――ちょっと話は変わりますが、海外でもアイドル映画って存在するんですか? 最近だとブリトニー・スピアーズの『ノット・ア・ガール』('02)なんてのもありましたが…。
宇田川 最近は少ないですよね。昔は歌手が映画によく出ていたから。
渡辺 プレスリー映画で終わった?
宇田川 アメリカの元祖アイドルといえば、フランク・シナトラですよね。アイドルとはもともと“偶像”という意味だけど、それを限定して“ボビソクサーズ・アイドル”(女学生の偶像)として、今のアイドルの意味になってきたのはシナトラからだと思う。ただ、シナトラの映画はアイドル映画とは言えないけど。
渡辺 そうね。マライア・キャリーの『グリッター きらめきの向こうに』('01)なんかはアイドル映画じゃないの? ただし、出来の悪い、ね(笑)。
――ティーン系の俳優は今もたくさんいるとは思うんですけど、逆に数が多すぎてよくわからないですよね。
渡辺 そうね。若いTVアイドルを使った映画はいまだに作られているみたいだけど、知名度がないから日本では配給業者も手を出さない。
宇田川 昔、“ビーチもの”ってありましたよね。タイトルに必ず“ビーチ”ってことばが入っているやつ。『ビーチ・ブランケット・ビンゴ』('65・未)とか、意味わかんないの。
渡辺 あれは一応、アネット・フィ=セロとフランキー・アバロンが看板アイドルだったけど、水着を来た女の子がわんさか出ているというだけで、アイドル映画とはちょっと違うんじゃないかな。
映画の形を狂わせるほどの魅力がないとダメ
宇田川 なんかアイドル映画っていうものがよくわからなくなってきたけど、もともとは映画の外から来たアイドルの人気で売ろうとした映画なわけですよね。最近はそれが逆転してきた気がするんです。だって『キューティーハニー』がアイドル映画だとしても、佐藤江梨子の人気だけでそんなにお客が呼べるとは思えない。ぼくは好きですけど。
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『あずみ デラックス・エディション』
暗殺者になるべく育てられた少女あずみが死闘を繰り広げる時代劇アクション。
発売:小学館/東芝エンタテインメント
¥5800(税別)
(C)2003「あずみ」製作委員会 |
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――確かに、アイドル映画なのかそうじゃないのか、境界線が難しいですよね。『あずみ』('03)だって、上戸彩が主演ですけど、アイドル映画と断定するには微妙な気がします。
宇田川 『あずみ』は彼女ありきの映画だから、アイドル映画だと言ってもいいと思いますよ。あ、それはぼくからの見かたにすぎないか(笑)。
――それにしても、今回の対談でおもしろいなと思ったのは、渡辺さんがいくらキレイな男の子が出ていても映画としての完成度が高くないとダメなのに対して、宇田川さんはアイドルが映画の中心であれば多少おかしなところがあっても許せてしまうってことですね。
渡辺 私の場合は、話がおもしろくないと途中で飽きちゃうから。
宇田川 ぼくはアイドルが出ることによって映画のかたちを狂わせてしまうぐらい魅力のあるアイドルがいればおもしろいと思う。
渡辺 今どきそんな娘いないじゃない。
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『バーバレラ』
ジェーン・フォンダ演じるバーバレラが、不時着した惑星で体験する奇妙なできごとを描いたカルトSF。
発売:パラマウント・ホーム・エンタテインメント
¥2500(税別)
※期間限定生産 |
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宇田川 いや、『キューティーハニー』はサトエリが出ることによって、今までにない映画のかたちに導いてると思うんですよ。ジェーン・フォンダがいてこそ『バーバレラ』('67)が作られたみたいに。とはいえ、ただアイドルが出ていればいいってことではないんです。それじゃ退屈しちゃうし、それだったらアイドルのイメージDVDを見ればいいわけですからね。ぼくが山口百恵にそんなに入れこめなかったのも、そこなんです。普通の映画として成り立っているから、何も彼女じゃなくても…って思っちゃう。
渡辺 山口百恵が破天荒なぐらい際立つ映画があったら、宇田川さんもぞっこんになってるってことね。でもあの程度でないとダメなの、日本のアイドル・ファンは弱気だから。豪勢なのは怖いのよ(笑)。
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『おくさまは18歳』
岡崎友紀主演で人気を得たTVドラマ。内緒で結婚した教師と生徒がドタバタ騒動を巻き起こすコメディ。
発売:角川映画
¥3869(税別) |
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宇田川 そうともかぎりませんが(笑)。ブルース・リーが登場して、アクション映画がガラリと変わっちゃった部分ってあるでしょう? そういうものをアイドルにも求めるんです。岡崎友紀の『おくさまは18歳』('70〜'71)や『ママはライバル』('72)は、彼女がいてこそ成り立っているわけですから。
渡辺 とはいえ、昔、憧れていたアイドルが全然違う姿になっちゃったりするわけじゃない? 宇田川さんがかつて好きだったかどうかはわからないけど、天地真理なんてすごい変わりようよ(笑)。
宇田川 昔のファンは今すごく恥ずかしい思いをしていると思いますよ(笑)。ぼくも当時は好きだったんだけど、彼女ほど落差のある人はめずらしい。天地真理は小柳ルミ子、南沙織と一緒に“ナベプロ”三人娘って呼ばれていたから、南沙織のファンだった人は今、いばってますよ。彼女はあんまり変わってないから、「俺たちの見る目は正しかった」って。“逆算すんなよ!”って感じですよね(笑)。そんなのは芸能に関しては何の証明にもならない。
渡辺 私は『サタデー・ナイト・フィーバー』('77)の頃、ジョン・トラボルタにぞっこんだったの。でも、彼がダメになった時期もあって、『パルプ・フィクション』('94)で復活したときには本当にうれしかったわ。変ってもうまく成長してくれればいいの。
宇田川 アイドルの人気って、いつかは落ちるのが当然だけど、そうなってもずっと活動している人はいいんですよ。ぼくが岡崎友紀を好きな理由も、彼女は今も舞台のミュージカルでちゃんと活躍していて志向が変わってないし、かがやきもうしなっていないから。でも、おちぶれちゃうのもそれはそれでいい。へんに立派に政治家夫人なんかにおさまるよりは、『アニーよ銃をとれ』('50)のベティ・ハ
ットンみたいに、皿洗いにでもなっていたほうが。あ、これはアイドルと芸人のありかたをごっちゃにしてるかも知れませんが。
渡辺 結局アイドル映画って、なんだかよくわからない。でもいいの、今回は宇田川さんへのサービス企画だから。私も楽しませてもらったし(笑)。 |
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